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【種別】 人名 【初出】 十五巻 【CV】 小清水 亜美 【概要】 【人物】 【性格】 【能力・スキル】 【作中での行動】 【口調】 【関連】 【概要】 暗部組織『アイテム』のリーダーを務める女。 学園都市第四位のレベル5であり、超能力『原子崩し(メルトダウナー)』を持つ。 外伝『とある暗部の少女共棲(アイテム)』では主人公を務める。 【人物】 スラリとした長身にふわふわとした茶髪と、お嬢様のような雰囲気が特徴的。 胸や肢体の肉付きは豊かで、モデルのようなプロポーションの持ち主。 年齢は明らかにされていないが、美琴を年下と見下していたことから高校生以上と思われる。 小麦で財を成したマフィア・麦野家の令嬢である。 彼女が暗部にいる理由自体、何かヘマをしたからではなく、元から社会の暗部で生まれ育った裏世界のサラブレッドだからである。 この設定が明らかにされる以前にも『超電磁砲』第三十話扉絵にて、幼少期の麦野と思われる少女が描かれており、 その内容は「豪奢な内装の部屋で少女が足を組んで凝った造りの椅子に座っており、 その傍らには執事が控えている」というもので、麦野がお嬢様育ちであることが示唆されていた。 現在でも第三学区のプライベートプールを借りっぱなしにしたまま忘れていたり、 高級ブランドの衣服や靴を当然のように購入して戦闘で叩き壊したりと、 金に対して無頓着なところがあり、彼女の財力の一端が窺える。 第四位なだけあって明晰な頭脳を持ち、 『スクール』の動向から襲撃予定地を割り出したり、相手の狙いを即座に看破したりしている。 語学面も優秀で、フランス語をリアルタイムで通訳したことも。 【性格】 暗部の人間らしく敵とみなした人物には容赦をしない残酷な性格。 一方で普段の短気かつ粗暴な言動からは分かりづらいが、拐われた部下の行方を不眠不休で探したり、死んだ部下のリベンジを行うなど仲間想いな一面もある。 ただし、それはリーダーである麦野の命令を守り仕事を遂行しようとした仲間に向けられる優しさであり、裏切り者は決して許さない。 誰かに裏切られたり、自分が窮地に陥ると暴走し味方にまで危害を加えることも。 また、敵を半殺しにしても「浜面なら許してくれる」と語るなど、感性そのものがかなり歪んでいる節がある。 ミスを許せない人間でもあるらしく、 ミスをしてしまった場合はそれ以外の事で帳消しにしようと別の目的を見出そうとし、 それにこだわることで結果的に本来の目的にさえ意識を向けなくなる。 我侭で自己中心的、かつプライドが高い。その一方で自分が周囲からどう見られているのか気にする一面もある。 外見についても同様で、ストッキングを穿いているのは脚が太めなのを意識しているため。 水着の際にパレオを着用してるのも、その辺が理由と思われる。 滝壺曰く、思い込んだら一直線らしい。 長らく暗部に所属していたからか、 「敵か味方か判断できない危険因子はとりあえず無力化する」という、ある種のプロの鉄則を持っている。 当初サンジェルマン側に立っていた自称・藍花悦を殺そうとした際にも、 「敵側に立っている以上は手心を加える理由が見当たらない」などとドライに割り切っている。 自由奔放で容赦のない性格であること、そもそも上条との接点が皆無であることなどから、 上条に協力する可能性が最も低い超能力者である。 また、生身の格闘能力が異常に高い(後述)こともあり、戦闘面でも上条と相性が悪いと思われる。 新約十巻で学園都市上層部から上条とオティヌスの殺害依頼のメールを受け取った際も、 2人を殺す事前提でデンマーク行きの勘定を纏めていた。 ただし、基本的に浜面と行動を共にしようとする傾向があるため、 新約十二巻などのように浜面が上条と共闘している場合には、結果的に麦野も上条に協力する可能性がある。 『超電磁砲』では、フレンダに「ボロボロのぬいぐるみを抱いてないと寝れない」という意外な秘密がリークされてしまっている(単行本五巻おまけ四コマより)。 好物はシャケ弁。ボリュームのわりにカロリーが少ない点に惹かれたらしい。小麦より米派。 また『超電磁砲』編集の荻野氏のツイートによると、 『超電磁砲』での麦野には、『禁書目録』十五巻の浜面の台詞を参考にレトロゲームが好きという裏設定があるらしい。 (例 スライム〜、パリィパリィ〜、噂のインベーダー等) 【能力・スキル】 「原子崩し」は攻防一体の強力な能力であり、戦闘力は非常に高い。 しかし、上記の通り本人の性格に難があるために油断したところを突かれたり、 プライドのせいで適当に処理したりするせいで、本来負ける要素のない相手に敗北するケースも見られる。 能力の殺傷性が高すぎるため、人に当たるとほぼ確実に殺してしまうのも原因だろうか。 そのため作中ではロボットや兵器といった人以外の敵を相手にする場合が多く、 「対能力者は第一位、対次世代兵器は第四位が最適」とも述べられている。 破壊力では御坂美琴を上回りながらも制御と応用性で劣るために、自身が第四位である事について不満を抱いている模様。 研究者の語るところによると最大出力を出せば美琴を簡単に倒せるが、同時に自身の体もバラバラに吹っ飛び命を落とすらしい。 能力だけでなく、身体能力も著しく優れており、 『超電磁砲』のフレンダ・漫画版『禁書目録』の浜面からゴリラと評されている。 例を挙げると 体長3m越えのホワイトタイガーを素手の一撃で気絶させる。 横薙ぎの拳で浜面を吹き飛ばし橋の欄干に食い込ませる。 地上数メートルはある橋の上から線路に飛び降りつつ、地面に手を突き刺して原子崩しで電線を切断した。 浜面が全力で走って逃げる中、平然と歩いて追いつく。しかも浜面との間には数百mの距離があった。 爆風によって吹き飛んだ直後の浜面に追い付いて正確に耳の中にドライバーを差し込む。 拳銃で何発も撃たれても立ち上がる。 蹴り一発で浜面を数m宙に舞わせる。ただの蹴りなのでいくらでも連発できる。 など。 なお浜面は体をアスリート並に鍛えており、 殴り合いなら上条と互角以上に戦い、 ビルの三階から飛び降りてもほぼ無傷で着地できるほどの人物である。 さらに後述の事件がきっかけで身体の一部を機械に置き換えたため、 打撃の威力は致命的なまでに上昇している。 能力抜きの身体能力が不明な削板と、 「直接戦闘に不向き」な藍花を除けば、 素の身体能力は間違いなく彼女がレベル5中最高である。 十五巻での浜面との戦闘で、右眼と左腕の肩から先を喪ったため、 新約以降は失った右眼と左腕をそれぞれ高性能の義眼と機能性重視の義肢で補っている。 眼を覆う眼帯状のバンドを隠すために顔の3分の1は特殊メイクで、間近で見ても分からないほど。 全身に残る火傷の痕もこれでカバーしている。 義眼は機械の眼と生身の脳を接続しているという点から、機械からの情報を直接受け取る事ができる。 もちろん『人間が感知できる情報』に翻訳する必要もある上に、義眼のシステムを利用しているので映像に頼りがちになってしまう。 なので万能とはいかないが、両手で扱うインターフェイスでは不可能な事ができる。 義手に関しては『定期的なメンテナンス』という名目で運動を行う必要があり、 それまで縁のなかった料理や洗濯などの家事も行うようになった。 新約十二巻では弾丸のように突撃してくるシャンボールの槍を義眼で捉え、 生身の肉体の速度を超えて動く義手でまとめて握り潰すなど攻撃的に利用している。 【作中での行動】 『超電磁砲』では、絶対能力進化関連の研究所を御坂美琴の襲撃から防衛する依頼を受け、脳神経応用分析所で待機していた。 美琴は結局もう一つの施設を襲撃したため、滝壺を連れて遊撃隊としてそちらに赴く。 フレンダのピンチを助けた後は滝壺の能力追跡の援護を受けながら原子崩しで攻撃、美琴を苦しめた。 その後、美琴と雌雄を決する為に、負傷したフレンダや体晶による能力行使によって消耗した滝壺を下がらせ、一対一で戦闘。 連戦により既に消耗していた美琴を終始圧倒するが、フレンダの置き土産を上手く使われ撃退された。 撃退された後も追撃する様子を見せるが、何故彼女が施設を襲撃したのか疑問に思い、施設の研究員から無理やり資料を奪う。 そして、絶対能力進化の詳細を知り、これならば放置した方が苦しむと考え身を引いた。 その後も『アイテム』のリーダーとして、各種任務をこなし学園都市の暗部で内部粛清や治安維持を主として行っていた。 しかし10月9日に起きた『スクール』との戦闘においては垣根帝督にまったく歯がたたず、 素粒子工学研究所の防衛に失敗しピンセットを奪取されてしまう。 この後も『スクール』を追撃し反撃の機会を窺がうが、フレンダの裏切りにより『アイテム』の隠れ家を襲撃され、 滝壺と絹旗最愛が戦闘不能。 更にはフレンダの裏切りを許さずに粛清した為に『アイテム』は壊滅寸前になる。 だがこの時点の麦野は本来の目的でなく、限界の滝壺に能力を使わせるなどして、『スクール』を潰すことに固執し始める。 しかし、滝壺を死守しようとする浜面仕上と袂を分かつ。 一度は浜面を追い詰めるが、彼女の無駄なこだわりの隙を突いた彼に重傷を負わされる。 そしてミスを許せない性格が仇となり逆上し、自身の能力の暴走で左手を肘から消失、その状態で反撃に出るが失敗に終わった。 死闘の結果、目を潰され銃弾を至近から撃ち込まれたことで死亡したと思われていたが、 死亡前にアレイスターに回収されており、十九巻で冥土帰しが残した『負の遺産』の応用を用いて復活。 油脂系の『溶ける骨組み』を使って肉の再生ペースを整えた上で、急速な細胞分裂を促す代物らしいが、 麦野曰く、「本人はこんな使われ方しているなんて思ってないだろうけどねぇ」とのこと。 しかし、能力を再利用するために無理矢理再生された状態であり、 右目は無くその眼窩からは溶接のような青白い光が迸り、 千切れた左手の断面からは(「原子崩し」による)眩い閃光のアームが飛び出しているという完全にはほど遠い状態で現れた。 猟犬部隊の残党などから追われていた浜面を「自分の獲物」として仕留めるために攻撃。 滝壺を人質にしたり、かなり卑猥な言葉遣いをしたりして彼を第二三学区の地下戦闘機試験場まで追い詰めたが、 空気摩擦用の耐久試験室の設備を浜面によって利用され、実験用の砂鉄入り烈風をまともに受けて吹き飛ばされてしまう。 しかしそれでもまだ息絶えてはおらず、浜面と滝壺の脱出に際しては、 超音速旅客機の発進に邪魔な障害物を吹き飛ばして援護した。 このとき浜面は「あいつとはまたどこかで会うような気がする」と感じており、結果事実となる。 2度の敗北を経てもまだ立ち上がり、浜面を追い学園都市の爆撃機に乗ってロシアへと向かう。 浜面の攻撃によって服は焼け焦げ、体には何本ものチューブやコードが取り付けられ医療機器と接続されており、 ますます人間離れした姿になった。 二十二巻にてついに浜面と再会。超能力者のプライドを捨て、体晶を使い能力を引き上げ全力で浜面を殺そうとした。 その際には数万にも及ぶ『原子崩し』の閃光を全方位に射出、『原子崩し』を束ねて20メートルもの巨大な鉤爪状にして振り下ろしたりと、さらに強大な力を発揮した。 が、体晶の適性が無かったこともあり拒否反応が出て、あと一歩の所でその場に倒れ伏す。 ボロボロの姿にたまらず駆けつけた浜面の必死の説得を受け、再度『アイテム』の仲間として手を組むこととなった。 この際に出た「お前は、滝壺を選んだじゃないか」との言葉から、元々浜面に何らかの好意を持っていた可能性も。 それもあってか再度手を組んでからは、滝壺を探す浜面を吹き飛ばし自分も体晶の影響で倒れそうなことをアピールしたり、 素養格付の存在を知り浜面のため激昂したりという意外な一面をみせている。 学園都市へ帰還した後は、絹旗と共に浜面をからかったりして過ごしている。 ただ、フレンダを殺害したこと、それが法的に処罰されないことについては思うところがあるようで、 フレメアに自分が姉を殺したと告白することで、不器用ながらも罪の精算をしようとしたことも。 (フレメア本人が寝ぼけていたため内容を理解できず、未遂で終わっている) 新約五巻、六巻におけるフロイラインの騒動では 深夜の路上で復活したと思われたフレンダに襲撃されるが、 それは自身の高性能義眼へのクラッキングによって写されたものと判明。 正体は居合わせた絹旗によると、フレンダの格好をしたおっさんだったらしい。 フレンダに化けていた暗部の男に「暗部から足を洗ったから人殺しはできないはずだ」と言われた時には、 「浜面なら大丈夫。なんだかんだで最後には許してくれるもんだよ」 と経験則でもって発言している。 浜面によって多少心境に変化はあったものの、本質は変化していないらしい。 その後は浜面に対しお仕置きとしてブーツの踵で電気あんまを食らわせたり、 復活した垣根帝督の出現時期と前述の襲撃が同時期であった事から、フレンダの墓を暴いたとして怒りを燃やし、 そして、苦戦する一方通行に協力し、同じ「殺した者」として彼を諭した。 学園都市の機能停止後は、英国へ向かう浜面・滝壺やフレメアと別れ、絹旗と共に学園都市を去った。 移動中の襲撃を避けるため、海外へは飛ばず日本国内を転々とするつもりのようだ。 だが、学園都市外のマフィア等が作った裏路地のルールを把握し守るのは難易度が高かったらしく、 結局「楽」な学園都市に絹旗と舞い戻り、浜面達と再び過ごすこととなった。 オペレーション・ハンドカフス時には壊滅手配(アウトランク)に指定され、 他の『アイテム』メンバー同様警備員から追われる身となるが、 結局、オペレーション終了後まで逃げ延びて検挙されることはなかった。 【口調】 基本は普通の落ち着いた女性語で話すが、 戦闘等でテンションが上がると罵倒が多くなり、下品な言葉遣いになる。 浜面との一度目の再戦のときにはさらに伏字が入ることもあった。 例)「こんなチンケな野郎どもに命狙われてんじゃないわよ。 お前はこの私が上下左右に裂いてブチ殺すって決めてんだからさぁ!!」 「逃げんな売女ァ!! 弾が尽きた途端にケツ振りやがって、第三位の名が泣くぞォッ!!」 浜面との和解後は微妙に口調が変わり、怒ったときは乱暴になるものの、サッパリとした口調になっている。 【関連】 関係ねえよ! 0次元の極点
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「終わったぜ……くそったれが……」 一つ、盛大な息を吐き、上条当麻の額から手を離した一方通行が座り込む。同時に、首に巻いてある電極チョーカーを能力モードから通常モードへと変換。 そう。二時間に渡る激闘が終わりを告げたのだ。 「まア、大丈夫だろうよ……コイツの脳が焼き切れた感触はなかったンだからなァ……」 振り返ることなく、一人ゴチるように呟いて。 「……オイ……ちゃンと、その超電磁砲を部屋に送り届けてやれ……」 「……気づいていたのですか? と、ミサカ一九〇九〇号は驚愕をあらわにします」 「ったり前だ……つっても気づいたのは終わった今なンだがなァ……今の俺が二時間フルに能力を使い続けて、それでいて通常モードに戻せるなンざ、あり得ねエ……超能力者(レベル5)クラスの充電があったって理由以外はな……」 しかし一方通行は振り返らない。 そして御坂美琴も促さない。 それは仕方がないことだった。 上条当麻を助ける、という点で二人は協力したが、妹達の一件がある以上、まだまだ二人の間にある大きな溝を、ヘタをすればマラリア海溝よりも深い大きな溝を埋めるまでには至らない。 一方通行が、その手で一万人を虐殺したという過去。 御坂美琴が、DNAマップを提供したことで、一万人を死に追いやったという過去。 双方の過去を二人は許すことができないのだ。 一人二人救ったところで、それでも命を奪った数の方がはるかに多いのだから許されるはずもない。 いっとき、協力できたからと言って、それで全てを水に流せるかどうかと問われれば、なかなか難しいのも事実である。 だから、お互いに顔を見たいとは思わない。 いつの日か、和解できるかもしれないが、それは残念ながら『今』じゃない。 美琴もまた、妹達に部屋へ戻すよう促し、一方通行に背を向ける。 「……今回だけは、アンタに礼を言うわ……ありがとう……」 「お互い様だ。俺もオマエが居なけりゃ、確実に失敗しただろうからなァ……」 たった一言ずつ。 それもお互い、自分の憎悪を必死で押し殺したような平坦な声で。 それだけ交わして二人は背を向けたまま、再び、別々の現実へと帰っていく。 仮に上条当麻が仲介に入っていたとしても、この二人のわだかまりだけは、そう簡単には解けないかもしれない。 無遠慮にズカズカ人の内側に入ってくる上条当麻であっても、この二人に踏み込むことはできないかもしれない。 暗闇と静寂が支配する病室。 一方通行はまだ座り込んでいた。 その背後には全てが終わった緊張感の疲れから眠ってしまった『打ち止め』と、力を使い果たして意識をなくした番外個体が居るのだが、一方通行もまた、疲労がピークに達しているので振り向くことすらできず、ただただ座り込むしかできなかった。 無理も無い。 何と言っても二時間も能力フル稼働で精密作業に勤しんでいたのだ。 いかに一方通行が学園都市最強と言っても生身の人間である。 肉体的精神的に疲労があっても不思議は無い。 「……テメエら、何の用だ? ……もう『グループ』は解散したはずだ……」 それでも一方通行の意識は途切れない。 背後に現れた三つの気配に声をかけた。 「決まってんだろ。お前を労いに来てやったんだ」 病室入口に佇む、三つの影の内、真ん中の影が一方通行に声をかけて、一方通行の背後から近づいていく。 「こっちの小さいのは私が運ぶわ」 言って、打ち止めを抱き上げるのは白井黒子とは違った結び方をしているツインテールの少女。 「本物でないのは残念ですが、こちらの『ミサカ』さんは僕が運びますよ」 言って、番外個体をお姫様抱っこするのは爽やかな笑顔を浮かべている美少年。 どうやら、この三人は御坂美琴が病室に戻ったところを確認して、この病室に入ってきたようだ。 力を使い過ぎていたのか、はたまた他のことはまったく目に入らなかったのか、美琴も、妹達も彼らには気づかなかった。 「俺がお前に肩を貸してやる。さあ、帰ろうぜ。おっと勘違いするなよ。暗部に、って意味じゃない。お前たちの居候先って意味だ」 一方通行の左肩を自分の右肩にかけたのは、ボサボサ金髪サングラスの少年。 「……余計な真似するンじゃねエ……土御門……」 一方通行は嫌な顔をするが、それでも土御門元春は無理矢理一方通行に肩を貸して立ち上がる。 「――今回の件、誰よりも頑張ったのはお前ぜよ。超電磁砲や妹達、打ち止めに、番外個体は交代でバッテリーを支えたが、お前はたった一人で、二時間という時間を、誰にも交代せずにやり遂げた。それを賞賛する者が居ないってのは違うだろ?」 「別に誉められるために、やったンじゃねエぜ……」 「それでもだ」 「何……?」 ふと一方通行は土御門を見た。 よく見れば、そのサングラスの向こうに光るものが見えた。 「テメエ……」 「へっ……お前と同じだ……俺に、こんな役は似合わねえよ……けどな、お前が助けた相手は、俺が二重スパイってことを知っていながら、何か胡散臭いことをやっているって知っていながら、それでも一緒に馬鹿やってくれる、困ったときには助けてくれる最高の『友達』ぜよ……だから、その礼くらいさせろ……」 「けっ……確かにテメエにゃ、そンな役は似合わねエな……」 珍しく一方通行は笑みを浮かべていた。 嫌味でも侮蔑でも嘲笑でもない笑みを。 そして六人は闇へと消えていく。 その病室には、いまだ、静かに眠る上条当麻一人だけが残された。 白い空間にさらに白さが増す。 二、三日前までの小春日和が嘘のように。 凍てつく冬の朝に相応しく、学園都市全体が白に染まっていた。 夕べからの降り続いた雪が全てを真っ白に変えたのだ。 月詠小萌に、上条当麻が入院している病院の門まで送ってもらって。 車から降りると同時にインデックスは走る。 白い修道服を振り乱しながら。 今にもフードが落ちそうになりながら。 エレベーターは使わない。使い方は分かっているけど使わない。 正確には使いたくない。 何もせず動かないで居ることなどできなかったから。 何もせず動かないで居ると別のことに思考が行ってしまいそうだから。 今は上条当麻のことだけを考えたかったから。 だから、インデックスは走る。 走っている間は「上条当麻に会いたい」としか考えることができないから。 いつもの病室、いつもの個室。 上条当麻が入院しているときは完全に定着した病院の一室。 ノックはしない。 もしかしたらまだ眠っているかもしれなかったから。 それほど早い時間にインデックスはやって来た。 インデックスは信じている。 御坂妹を信じている。 昨夜、彼女は、明日には上条当麻の記憶は戻っていると力強く宣言した。その理由も納得できるものだった。 でも、と、インデックスは一抹の不安を抱く。 御坂妹のことは信じているが、何しろ、上条当麻である。 何らかのトラブルに、言い換えれば、何らかの『不幸』に巻き込まれても何の不思議も無い。 記憶が戻っていると信じたかったが、予期せぬアクシデントが起こった可能性を否定できなかった。 正直言って、病院に泊まればよかった、と後悔したほどだ。 自分の与り知らないところで何度も、命の危険に晒された少年だからこそ、100%信じられないのだ。 恐る恐るドアをくぐる。 前を見ると、少年はベッドの上で上半身を起こして窓を見ていた。 曇りガラスの向こうの、真っ白な風景を、ただぼんやりと見つめているようだった。 そこに居る少年の佇まいは、一週間前と、そして七月二十九日に酷似していた。 いや、同じと言っても過言ではなかった。 一瞬、インデックスの表情が強張った。 それでもインデックスは走る。 意を決して、少年に向かってまっすぐ。 少年は少女に気づいた。 ゆっくり、と彼女へ視線を向ける。 ベッドの手前でインデックスは立ち止まる。 インデックスは、少年の瞳に映る自分を見ていた。 少年は、インデックスの瞳に映る自分を見ていた。 一週間前と同じように、七月二十九日と同じように。 そして―― 「とうま、覚えてない? 私達、学生寮のベランダで出会ったんだよ?」 インデックスは問いかけた。 「――俺、学生寮なんかに住んでたの?」 少年は答えた。七月二十九日とまったく同じ答えを。 インデックスにとっては衝撃的な答えだった。頭の中が一瞬でひび割れて、砕け散りそうな答えだった。 何かが胸にこみ上げてくる。 それでもインデックスは続ける。 嗚咽が漏れそうになる声を必死に抑えて問いかけを続けていく。 「……とうま、覚えてない? とうまの右手で私の『歩く教会』が壊れちゃったんだよ?」 「――あるくきょうかい、って、何? 『歩く協会』……散歩クラブ?」 「…………とうま、覚えてない? とうまは私のために魔術師と戦ってくれたんだよ?」 「――とうまって誰の名前?」 インデックスの口はあと少しで止まってしまいそうだった。 「とうま、覚えてない?」 それでも、これだけは聞かなければならない。 左手で右手を包み込むような形の両手を胸において、無理矢理作った今にも涙が溢れそうな必死の笑顔で、 「インデックスは……インデックスは、とうまの事が大好きだったんだよ?」 「ごめん」 少年は即答だった。そこには何の感情も篭ってなかった。 「インデックス、って何? 人の名前じゃないだろうから、俺、犬か猫でも飼ってんの?」 うぇ……、とインデックスに泣きの衝動がこみ上げてくる。 しかし―― 「――――で、一字一句合ってるかどうかは自信ねえけど、大体こんな感じの問答だったろ?」 少年の口調がいきなり変わった。 その口調は、いつもの『上条当麻』のものだった。 片目を瞑り、インデックスに笑いかけながら。 答えを聞いて、インデックスは我慢するのをやめた。演技するのをやめた。 自分の気持ちに正直に行動することにした。 「とぉぉぉぉぉうまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 泣き叫んで、上条当麻に飛び込んで、力の限り抱きついた。 両腕に渾身の力を込めて。 もう二度と少年を離さない、どこにも行かせない、といった意思表示のように。 「とうまとうまとうまとうまとうまとうまとうまとうま、とうまぁ……!」 溢れる涙を圧し留めるつもりなんて無い。 敬謙な使徒の振る舞いなんて知ったことではない。 一〇万三〇〇〇冊の魔道書の記憶なんてどうでもいい。 今はただ、普通の少女として、少年のことで全身を満たしたい。 インデックスは上条当麻の肩に顎を乗せて泣き続ける。 「……ったく、そんなになるんだったら最初からやらなきゃいいだろうが」 上条当麻は瞳を伏せ、そんなインデックスを左腕で優しく包み込み、背中を優しくさすってやる。 右手では、せっかく新しく支給された『歩く協会』を再び、壊しかねないことを『知っている』から。 「だって……だってだってだってだって……! 本当にとうまの記憶が戻ってるのか確かめたかったんだもん!」 「語尾がいつもと違うぞ。んで、どうする? もう一つの答え合わせも、やらなきゃいけないか?」 どこか、上条当麻は、からかうようにインデックスに問いかける。 それは、少年の、しばらくはまだこうしていてやるが? と、いう裏返しのメッセージ。 「それは帰ってからでいいんだよ! だから今はまだこうしていたいんだよ!」 「へいへい。泣き虫駄々っ子の女の子を優しくなだめる上条さんですよー、って、あ……!」 上条は思い出す。もう一つ大切なことを。 「なあ、インデックス……」 「それも帰ってからでいい!」 「そっか……」 再び、病室に歓喜の号泣がこだまする。 折りしも今日は12月25日の朝。 十字教では12月25日に創始者の生誕を祝い、厳かに過ごす習慣があるそうだが、その日の朝は12月24日夜、寝ている内に、サンタクロースが持ってきてくれたプレゼントに感謝する朝でもある。
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(二日目)10時39分 第二三学区。 航空、宇宙産業を専門とする学区であり、他にも軍事関係の施設、企業が立ち並び、学園都市の生徒に内部構造はあまり知られていない。 普段は企業関係者が多く行きかう航空ターミナルへの巨大ブリッジ。しかし今は、誰一人ともおらず、一部の風力発電のプロペラの音だけが鈍く響く不気味な静寂さが漂っていた。 その中心に白髪の少年はいた。 強く胸を抑えていた。体からは恐怖感から来る汗と、口元からは鮮血が滴り落ちている。 「はあ、はあ、ぐっ、がはッ!」 (無理しないで!ってミサカはミサカは命にかかわる危険性を訴えてみる!) 「バカ野郎。無理やり痛覚の電気信号を抑えてると、一気に受信してショック死しちまうンだよ。少しは流しとけ。温度まで感じなくなッちまうと後が怖ェからな」 (でもでも、さっきの『白い羽』のせいで体がボロボロなんだよ!左腕の二の腕は一四センチの裂傷。肋骨は五本骨折してるし、動脈だって傷ついてる!ってミサカはミサカは貴方の体の状況を報告してみる!) 「…ンな事は分かってんだ。体内の『ベクトル操作』は任せたぜ。激痛が走ると演算に支障をきたしちまう」 膝に手をつき、体を起こした。先ほどまでの痛みが引いていく。『打ち止め(ラストオーダー)』が痛覚の電気信号を『ベクトル操作』で抑えたのだ。白髪の少年は口に溜まった血を吐き捨てると、体の動作確認をした。 (…痛覚を止めたってことは『感覚』が無くなッてるってことだ。体を動かしてる『感覚』はあンだが、服を触ッてる『触感』が無え) 「ラストオーダー。あとどのくらいだ?」 (すでに全治二か月程度の負傷。これ以上怪我をすると緊急手術をしても危ないかも。特に胸部のダメージは注意して。さっきの怪我で、腎臓と肺を傷つけてるからってミサカはミサカは貴方が私の言うことを聞かないのを了解しつつも、冷静に貴方に警告してしてみたり) 「へッ、うッせ」 『一方通行(アクセラレータ)』は口元を歪ませた。その唇からまたもや血が流れているのに気付かないまま。 少年の背後から足音がした。 ゆっくりと、白髪の少年は振り返った。全身の『方向(ベクトル)』を「反射」に切り替える。『一方通行(アクセラレータ)』の赤い瞳は一人の少年をとらえた。 『上条当麻』という、人の皮を被った『怪物(ドラゴン)』を。 多くの人で混雑する幅一五メートルの階段も今は無人。その中心を下りてくる。悠然とした態度で歩調は乱れない。 服装は白いワイシャツに胸元からは赤いTシャツとピンクゴールドアクアマリンのネックレスが見え隠れしている。下は長点上機学園の制服のズボンに学校指定の皮靴を履いている。『竜王の顎(ドラゴンストライク)』の出現と同時に右腕の服が吹き飛んでいた。どこかでシャツを調達したのだろう。見るからに新品特有の純白さが残っている。 二人の距離は約五〇メートル。 その間に行き交うのは殺気に満ちた視線が交差する。 相手の機微を詳細に分析し、あらゆる思考を巡らせ、反撃の機会を窺う赤い瞳と、強烈な存在感と共に確固たる意志を感じさせる黒の瞳。両者とも不敵な笑みを浮かべていた。 「『ドラゴン』。一つだけ教えろ。なぜオマエは俺の意識だけをこの時代に跳ばしてきた?」 ピタリ、と『魔神』の足が止まった。黒い瞳が白髪の少年の視線を正面から捉えた。 「なに、貴様に興味があっただけだ。この『上条当麻』とは対照的で、よく似ている貴様にな」 「あ?俺がその能天気なテメェと似てるだと?反吐が出るぜ。つかオマエはそんな下らねェ理由で、こんなフザけたお遊びをしたってワケか」 一瞬、『一方通行(アクセラレータ)』の頭は怒りで沸騰しかけたが、無理矢理に感情を抑え込んだ。 敗北条件は『魔神』の機嫌を損ねること。 『一方通行(アクセラレータ)』はそれを理解していた。『魔神』は、『上条当麻』の能力である『触れた物体を消滅させる能力』に、学園都市外にある山を貫通する威力と射程距離を持った巨大レーザーを発射する『ドラゴン』としての能力もあり、底が知れない。能力の全貌を知ってしまえば、戦いを破棄するという選択権が最良である理解してしまう可能性も否めないのだが、核ミサイルすら傷一つつけられない学園最強の超能力を持ってしても、真っ向な勝負では『ドラゴン』には絶対に勝てない。幾度と無く、裏社会での殺し合いに身に置いていた彼の本能がそう告げていた。 ひとつだけ、策はあるのだが、まだそれを実行するべきでは無い。 さらに、と『一方通行(アクセラレータ)』は付け加える。交渉の余地がある事自体、希望が持てる。『ドラゴン』は人を下等な生物だと見下していることから、自分自身に対して、強烈な自尊心(プライド)がある。敵を嬲るという『三流の殺し方』からもその傲慢さが垣間見える。そのおかげで、『一方通行(アクセラレータ)』は2時間以上の戦いを持ってしても殺されていないのだ。国家間の争いでも同様である。人的、物質的被害を被る戦争よりも、長期にわたる会議による解決の方が互いの損失は最小限で済む。大きな問題であるほど、交渉による解決はその有益性は増すのだ。 けれど、これももはや時間の問題であった。 「いや、これは余の意図していたものではない。まさに『運命』ともいえよう」 「神のお導きってヤツか?生憎、俺はそんなもんはハナから信じねえ性格(たち)だ」 「『俺』も貴様も、強大すぎる力が故に、その力を開花させることを『世界』から拒まれた。『俺』は常に『不幸』な人生として。貴様は『超能力』という『殻』で本来の力を隠蔽しつづける人生としてな」 『魔神』の含みのある言動に、白髪の少年は眉をひそめた。 「…俺の本来の力だと?」 「本来の力、というより『人為的な偶然の産物』といったほうがいいだろう」 「テメェは俺の何を知っている?」 「余は『人』として生きていけない人間を知っているだけだ」 「強大な力を持つ者は、それだけで人の輪から外れてしまうものだ。異質による違和感と恐怖感によって、同種でありながら交わることを拒絶される」 「それでは『人』としては生きていけない。貴様なら理解できるはずだ。その『超能力』とやらで数奇な人生を辿ってきた貴様ならな」 『一方通行(アクセラレータ)』は答えられなかった。彼が『超能力者』でなければ学園都市の暗部とは全く無縁の世界で生きていただろう。普通の学校で、普通の友達と触れ合い、群衆に紛れて、日々の雑事に葛藤する人生を歩んでいた。人を殺すことも無く、自分の名前を忘れることも無く、人を拒絶することも無く、友達を作り、恋人を作り、日常に退屈を覚えるような光のあたる世界にいた。 「随分とペラペラと喋るじゃねエか。何だテメェは、そんなに一人ぼっちが寂しいか。あ?」 「ああ、寂しい」 「ふん、じゃあ、テメェを倒してまた一位に君臨してやるぜ。第二位ってのは中途半端で気持ち悪いんでなァ」 「なら頼む。余を倒してくれ。でないと、退屈で世界を滅ぼしてしまいそうだ」 「ハッ。笑えねェ冗談だなオイ」 「だが、これは『俺』の望むところでは無い。出来ることなら構わないがな」 その言葉に、白髪の少年は口元を邪悪に引きつらせた。 「アァ、じゃあお望み通り、殺してやるよ」 「!」 『魔神』は目を見開き、ハッと右手で自分の口を塞いだ。 「…貴様!」 「もう遅えンだよ!」 『一方通行(アクセラレータ)』は両手を『魔神』へ突き出し、白く細い両手の拳を強く握りしめた。 その瞬間、周囲の風が逆流する。『魔神』は膝をついた。首を右手で抑え、左腕で口元を拭った。 「ハッハ!俺が何でテメェにケツを振りながら逃げ回ったと思ってンだ!?より多くの大気に触れるためだ。それに俺の背後にあるプロペラだけが回ってンのもおかしいとは思わなかったか?追い風ができるように細工してたンだよ。テメェに届く空気を操作できるようになァ!」 その問いに、『魔神』は答えられなかった。咳と共に、唾液や胃液が吐き出される。 「テメェは幾ら強かろうが所詮はホモサピエンスっつう動物だ。呼吸できなければ死ンじまう。ならテメェを取り巻く大気を掌握して、低酸素濃度の空間を作っちまえばいい」 白髪の少年は、さらに口元を引きつらせ、『魔神』に向かって中指を突き立てた。 「あとよォ」 と、『一方通行(アクセラレータ)』は言葉を紡いだ。 「テメェの肺にある空気も、俺の支配下にある」 もう一方の手の親指を突き立て、その指を地面に向けた。 「…げぼっ!っつ、ガハッ!」 嘔吐を繰り返し、『魔神』は、強く胸を抑え、両膝をついた。 先ほどまでの余裕がまるで嘘のように地面に這い蹲っている。両腕は小刻みに震え、頭は項垂れたまま動かない。人間が七パーセント以下の低酸素濃度の空気を吸い込むと、脳内に急激な酸欠状態を招き、意識が朦朧となってしまう。そして、日差しが照りつける太陽の下、『魔神』は大きな闇に覆われた。 頭上には、三〇トンを超す大型旅客機が落下していた。 ここは多くの交通機関から国際ターミナルへと繋がる合流地点であり、他の通路と比べても数倍の面積を持つブリッジである。 あまりにも場違いな無人旅客機。エンジンが稼働していない飛行機は、数分前から『一方通行(アクセラレータ)』の『ベクトル操作』によって動かされていた。 迫りくる鋼鉄の鳥。圧倒的質量のある物体に押し潰されれば、タンパク質の塊である人の肉体など原型すら留められない。 『魔神』は旅客機を『消滅』させる。 白髪の少年はそれを読んで、他の旅客機から一〇〇〇キロの重油タンクを2つ、予め抜き取っておいた。それをブリッジの両側にある街路樹をカモフラージュにして配置していた。 『一方通行(アクセラレータ)』の真の狙いは、旅客機による物理的な死では無く、爆破と素粒子の『ベクトル操作』での酸素欠如による窒息死。『魔神』は瞬時に移動できる術を持っていない。幾ら強大な能力を持っているとしても、生身の肉体を持った人間なのである。酸素無くして生物は生きられない。そこに勝機を見出したのだ。 落下速度から旅客機が『魔神』と衝突するのはもう1秒足らず。 そんな絶望的な下、『魔神』はゆっくりと立ち上がった。 『魔神』は襲いかかる巨大な闇を見上げ、言の葉を告げる。 「風よ。余に従え」 突如として、人為的な大気の動きが止まり、ピタリと鋼鉄の鳥が空中で静止した。 「ッ!!」 想定外の事態に戸惑う暇は無い。瞬時に両サイドに配置された重油タンクを動かそうとして、 それらが全く動かなかった。 それどころではない。全身が動かせない。 『一方通行(アクセラレータ)』の思考は凍り付いた。 このブリッジを落とし、距離を取って再機を謀ることも出来無い。 『魔神』は俯いたまま、その場に立ち尽くしている。 「少々貴様を侮っていた。…ふむ、右の肺がやられたようだな」 『ベクトル』を使って距離を取ろうにも、指一つ動かせない。白髪の少年の背筋に言い知れぬ怖気が走る。まるで死神に心臓を握られているかのような錯覚にとらわれていた。息することさえ許されないように。 『魔神』は顔を上げ、白髪の少年と視線が交差する。 そこにあったのは満面の笑み。上条当麻を知っている者であれば、見たことも無いほどの邪悪に口を歪ませた笑顔。その笑みが崩れぬまま口元の血を袖で拭い、言葉を紡いだ。 「余の命令だ。本気を出せ。『魔王』」 トン、とコンクリートの床に足を踏んだ。 『魔神』がしたのはただそれだけだ。 なのに、 グチャリ、と『一方通行(アクセラレータ)』は地面に崩れ落ちた。 同時に体中から鮮血の飛沫が舞う。 無人のブリッジの上で、学園都市第二位の『魔王』が慟哭した。 「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 何が起きた?『一方通行(アクセレレータ)』に激痛が走った。一瞬にして全身の筋肉が萎縮し、力を失った体は、糸の切れた操り人形のように床に叩き付けられた。 血液が沸騰したように体が焼き尽くされた錯覚が脳を襲う。 ヒトとしての理性も感情も一瞬にして吹き飛び、残るのは人間の本能が剥き出しになった動物としての姿。 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。 「ぐッ!ば、はァ!…ひ、ひゅ、ヒュー、ぐェあ、オエェッええ!」 地面に消化物が混ざった胃液を吐き出した。肺に残る酸素は全て吐き出され、呼吸すらままならない。 地面でもがく白髪の少年を、笑顔で見据えながら『魔神』は告げる。 「余を起点に『上条当麻』の力を直径1キロ展開しただけだ」 理屈は簡単だ。『幻想殺し(イマジンブレイカー)』によって、体内を操作していたベクトルが打ち消されたのだ。傷口から血が溢れ出し、制服で隠れていないYシャツは真っ赤に染まる。制御していた電気信号は正常に戻り、痛覚の電気信号が一気に直接脳へと流れ込んだ。 そんな『魔神』の告白も、白髪の少年の耳には入らなかった。 「さて、と」 モゾモゾと床を蠢く『一方通行(アクセラレータ)』を横目に、『魔神』は右手を振り上げる。 頭上に静止してい三〇トン強の旅客機は、周囲の大気ごと『消滅』した。 ゴオォ!!と、一瞬遅れて轟音と共に爆風が巻き起こる。 『魔神』を中心とした竜巻のように舞い上がる螺旋の爆風。 白髪の少年の華奢な体は、風に揺られるビニール袋のようにゴロゴロと転がり続け、ブリッジの端にある街路樹の花壇に激突した。ペンキで無造作に塗られたように、床に鮮血のアーチを描く。 コツ、コツ、と、足音をコンクリートの床を響かせるように、ゆっくりとした歩調で『魔神』は白髪の少年の元に近づいていた。 距離は僅か、五メートル。 無様に床を這いずる『一方通行(アクセラレータ)』を見下ろしながら、『魔神』は言葉を紡ぐ。 「どうだ?無能力者というのは。非力なものだろう?」 非力。 その言葉に、『一方通行(アクセラレータ)』の心は深い『闇』に染め上げられた。 意識が朦朧としながらも、血で塗れた鋭い眼光で黒髪の少年の姿を捉える。 この命に代えてでも、『ドラゴン』を粉砕することをここに誓う。 右脳と左脳が割れ、その隙間から、何か鋭く尖ったものが頭蓋骨の内側へ突き出してくる錯覚。脳に割り込んでくる何かは、あっという間に白髪の少年の全てを呑み込んでいく。果物を潰すような音と共に、両目から涙のようなものが溢れた。それは涙ではなかった。赤黒くて薄汚くて不快感をもよおす、鉄臭い液体。頬を流れる液体は、白髪の少年にとって不快なものでしかない。 カチリ、と。 頭の中で、何かが切り替わった。 少年の自我が深い闇に塗り潰され、擦り切れる音が気こえた。ドロドロに染まる真っ黒な感情。 「ォ」 叫びとも呪文とも聞こえる白髪の少年の咆哮。 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオォ!!」 白髪の少年の背中から噴射する黒の翼。その規模は爆発的に展開し、一瞬にして数十メートル上空へと伸びていく。 『魔神』はそれを見て、邪悪な笑みをより一層、顔に刻んでいく。 「余に示せ。貴様の――――――――――――『竜王の翼(ドラゴンウイング)』をな」 晴天の空を塗り潰す黒の翼。 赤く染まった眼球が捉えるのは、不適に笑う得体の知れない少年。 ドス黒い一対の翼は、ブリッジにある街路樹やコンクリートでできた床、巨大エスカレータ、ガラスの破片、一〇〇〇キロの重油タンクなどの周囲の物体全てを巻き込んで、 『魔神』を呑み込んだ。
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もっと!熱くなれよおおおおおおおおおおお!!! 「少し…顔を、洗って、きますね」 悪夢のような放送後、私は猛烈な吐き気と言い様もない不快感に襲われた。 常に冷静であることを意識している私だけれど、今回ばかりは動揺を隠しきれなかった。 とにかく気分が悪い。 「おい、一人で大丈夫か…?」 衛宮さんが心配そうに気遣ってくれる。 彼はすごく良い人だ。 11人も亡くなったというこんな状況でも、周りのことがちゃんと見えている。 一方私は、今だけはこんな顔を誰かに見られたくないという一心だった。 「お気になさらず。すぐに戻ってきますから…」 頭で放送内容を整理しながら、ふらつく足をなんとか前に進めていく。 足取りは、酷く重たいものだった。 ◆ 「はー、はー」 ここは女子トイレ。 明かりも点けず、薄暗いところで備え付けの鏡に向き合う。 呼吸が苦しい。それに頭痛も酷く、立ちくらみがする。 吐き気は割と治まったが、目の焦点が合わない。 未だに信じられないのだ。 真帆が、死んだ…? 「あれは嘘…よ。そんなわけ、ないのよ」 自分に何度もそう言い聞かせる。 そう、あの放送は誤りだ。人が死んだという、実感がない。 だから。 真帆は死んでいないし、真帆は死んでいない。 真帆は死んでいないし、真帆は……っ、 「あ、あああああっ……!」 洗面台の鏡に皸が入る。 「何で、どうしてッ…!」 伸ばされた右腕の拳から赤い液体がどろりと流れ落ちる。 垂れた真紅の血は床に小さな水溜まりを作り出す。 「痛い」 真帆が受けた痛みはきっとこんなものではないのだろう。 誰かに殺されたのだ。手段は勿論分からない。 しかし、人は簡単には死なないように出来ているという。 きっと、酷い事をされたに違いない。最悪の場合は…。 そう思うと、両目からは透明の液体が溢れ出す。 同時に、何かが切れた。 「バカ真帆!アンタはいつだってそうやって一人で勝手に進んで! こうして取り返しのつかないことになって!いつもいつも………!!」 生まれた頃から幼馴染だった。 何かにつけてはいつも同じ、言い換えればライバル同士、お互いを競い合う中だった。 特にバスケのことでも、真帆に誘われなければ自ら進んでやることもなかっただろう。 無理やりにでも誘ってくれて本当に嬉しかった。 こんなに面白いスポーツに興味を持たせてくれて少しだけ感謝していた。 「もう、二度と会えないの…?真帆」 いつもたくさんの迷惑をかけられてばかり、そんな真帆はもういない。 このどこぞと知れないような場所で、帰らぬ人になってしまった。 「はっ」 不幸にも、私は恐ろしい想像をしてしまう。 名簿を思い出す。 アレには確か、真帆だけでなく慧心女バスのチーム全員、その上コーチの長谷川さんも居たはずだ。 もしかしたら、ここで皆が死ぬのではないかということを。 有り得ない話ではない。既に11人がここで死んでいるという異例の事態だ。 このペースなら、明日には殺し合いが完了していても可笑しくない話である。 「嫌、死にたくない…!」 頭を抱え、床にしゃがみ込む。 最早、冷静でいることなど出来ない。 始まってしまった殺し合いを、止めることは無理。 恐怖にただ怯え、殺される時を待つほかないのだ。 もう、成す術がない。 『方法ならあるよ!』 そんな絶望の最中に― 「だ、誰!?」 現れた― 『酷いなぁ。さっき話したじゃないか』 たった一つの― 「あなたは…」 最後の― 『やあ紗季、どうやらお困りのようだね。僕と契約する気になったかい?』 希望。 「キュゥべえ…!」 ◆ 「11人、か…」 「人殺ししてんじゃねーよ!」 士郎はあまりにも多い犠牲者の数に、主催への怒りを示した。 人を殺すことは悪であり、これは正義に反する行為だ。 だが、これは防ぎようのないことかもしれない。 単純に人殺しを愉しむ愉快犯は兎も角、自身や誰かを守るために人を殺すという可能性もある。 何より問題なのが、殺し合いを強制させる存在そのものなのだ。 奴らの存在さえ無ければ、11人が死ぬ必要はなかったのだ。 「絶対に許さねぇ…!」 「そうだ!俺は怒るよ…ふざけるな!」 士郎と修造は亡くなった11人に黙祷を捧げ、彼らの無念を晴らす為、打倒主催を心に誓った。 「ユー、何書いてるんだ?」 『秘密』 何か隠していることでもあるのかと士郎は思った。 とはいえ、女の子の隠し事に介入するのは野暮か、と深く追求はしなかった。 士郎たちは既に放送に関する情報交換は済ませた。 個人間の知り合いは生存、残すは紗季だけだが、残念ながらあの様子から見るとおそらく死者がいたと見える。 士郎はそう思うと心が痛む。身近な人が死ぬのは精神的に辛いものがある。 それに、紗季はまだ小学生だ。知人の死になど直面する機会は滅多にない。 さてどう励ますものか、と思っていたが元気づけなら適任者がいたなと目配せしつつ、今後の方針を考えていた。 「ひィ、ふゥ、みィ…3人か。まァ何人いよォと俺は構わねェけどなァ」 音もなく塔内に侵入してきた白髪の男。 肌は真っ白、それに簡単に折れそうな程腕は細い。 アルビノ、とでも称せばいいだろうか。 その印象から醸し出される雰囲気はどことなく異様。 武器は持っていないが、士郎とユーは警戒を怠らない。 「栄養不足だッ!!お米食べろ!!!」 修造は普段通りであったが。 「おいおい、招かれざる客ってかァ?落ち着けよ。 まずは少し話を聞くってのが筋ってもンだろ?違うか?」 「お前は…?」 不穏な空気の中、士郎が絞り出した声で問う。 「俺は一方通行(アクセラレータ)ってンだ、よろしく」 「衛宮士郎だ」 「俺は!松岡!シューーーーーゾウッ!!こっちはユーだッ!!」 「オーケー。テメェら団体行動とってンぐらいだから、聞く意味はねェだろうが万に一つの可能性ってのもあるしなァ。 一応聞いておくぜ。オマエラは殺し合いに乗ってンのかァ?」 回答次第では戦闘になるか、士郎はいつでも動けるように全神経を集中させる。 頬には、一筋の汗水が流れる。 「違う!俺たちは殺し合い反対派だ!! そんなことしなくてもいい!大丈夫、どうにかなるって! Don t worry. Be happy!」 「そォかそォか。どォしてどいつもこいつも徒党を組んで馴れ合いをするンだろうなァ。 主催のクズどもに会うのは、やっぱり皆殺しにするのが最短じゃねェとは思わねェのか?」 士郎たちは確信した。 一方通行が殺し合いに乗り、今まさに自分たちをターゲットに定めたということを。 戦闘は避けられない。勝てる見込みはあるか…。 「何が言いたい…!?」 「てめェは馬鹿か。お前らが殺し合いに乗ってンなら後回しにしようとしただけだよ。 それまで頭数を減らすっていう貢献をしてくれンだからよ。 だがもうそれは期待できねェみてェだし、とっとと死ンでくれませんかねェ!?」 一方通行は乱暴にそう言い放つと、右足で地面を大きく踏む。 それは、ある意味予想の斜め上を超えた攻撃だったといえよう。 士郎たちには、一方通行という人物を知らなすぎた。 学園都市が第一位、最強の超能力者"一方通行"という存在を。 ◆ 「あぶねぇ…ッ!」 「うおっと」 士郎は寸前で右方に飛び出して、投石を回避する。 ほんのちょっぴりだけだが、戦闘なれしているお陰だった。 とはいっても、殆ど奇跡みたいなものであったが。 修造も、持ち前の運動センスを活かして回避に成功する。 「…」 ユーも、普段からは想像もつかない軽やかな跳躍を披露して一方通行との距離を遠ざける。 一方通行はニタニタ笑いながら対峙する。 「ハッ、やっぱ殺し合いってのはあっさり終わるンじゃあつまんねェよな」 一方通行は呟くとポケットからパチンコ玉を掌いっぱいに持ち上げる。 下品な笑い声を上げながら、最高のショーを始めようとしていた。 「精一杯かわしてみせろよ」 パチ玉の一つをもう片手の親指と人差し指で摘み、ピンと弾く。 それだけで十分だ。弾き出されたパチ玉は、ベクトル変換によって鋭い弾丸へと変化するのだから。 「投影(トレース)―――」 イメージしろ。 意識を心象風景に。 「―――開始(オン)―――!」 「士郎!!」 士郎の心臓を貫く軌道だった弾丸は防がれ、あらぬ方向へと飛んでいく。 そう、士郎の手には存在しなかったはずの両手剣が握られていた。 それは干将・莫邪。陰陽の理を持つ夫婦剣。 アーチャーの愛用する、彼を象徴とする宝具の投影。 「まァ合格だな、よくできましたってか? ところでテメェ何かの能力者か?」 「俺は魔術師だ」 「マジュツ?ハ、何だそりゃ?ンなこたあどうでもいい。 次はこれだ」 手の中にある鉛色の弾丸すべてを放り投げる。 玉は忽ち弾へと姿を変える。 ひとつひとつが先ほどの弾と同等の威力を持っている。 「…クソッ!」 ユーはポケットからたけし城を引っ張り出し、士郎の方に投げて防御壁にする。 しかし所詮は木製の箪笥。打ち出された玉が次々に突き刺さり破壊する…。 …はずだった。 「何だありゃあ…?」 士郎の使える魔術のうちの一つ、強化。 一時的に箪笥の強度を上げたことで、弾丸にも耐えうる硬さにすることに成功した。 「助かった…」 だがそれも時間の問題。 ミシミシと不穏な音を立てる箪笥。 「ぐッ…!?」 士郎に衝撃が走る。 突き破った一発の弾丸が、右胸を貫く。 反対側だったら死んでいたに違いない。 無意識に恐怖を感じていた。 対して修造も致命傷を受けていた。。 苦痛に塗れた呻き声を漏らし、弾丸の刺さった足と肩を押さえて転がりまわっている。 人並み外れて運動神経がいい彼であるが、今は現役を引退しており、全盛期ほど反応がよくなかった。 全ての弾丸をかわす程、器用な動きはできなかった。 「く、修造…!」 「安心しな。ここで全員、あの世行きだからよォ」 一方通行はニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべる。 このままではまずい。 「ん?」 苦しくなる呼吸の中で、何気なく視線を巡らすと、箪笥に一枚のメモが張り付いていた。 何故かこのメモには見覚えがあるのは気のせいか。 「『耳を塞げ』。なんでさ…」 そう達筆で書かれたメモを見て、罠か何かかと思ったものの、ひとまずこれに従う。 解決の糸口になる可能性を秘めたものであれば何でも使う。 さもなくば死ぬかどちらかだ。 数秒後、士郎は驚くべき光景を見ることになる。 ◆ 「グアアアアアアッ、てめ、グガッッ!!」 一方通行が全身から血を吹き出して暴れていた。 耳を塞いでいる以上、何が起きていて、何を言っているのかは分からない。 先程までの余裕っぷりから比較すればありえない光景だった。 一体何が、と士郎は首を傾げる。 しかし、そんな疑問を抱いたのも束の間、一人の人物を思い出す。 一言も発さない、謎の少女。 (ユー…なのか?) よくよく考えてみれば、士郎はユーのことを何も知らなかった。 いや、士郎だけではない。修造や紗季、一方通行も誰も、彼女のことを詳しく知る人物はいなかった。 凛とした表情で一方通行に対峙するユー。 紫のオーラを纏いしその姿はまるで魔術師。 それも、自分よりも遥か上位の魔力を備えているのが見て取れた。 「テメェェェェ、何、しやがったアアアアァァ!!」 『「死ね」とか「殺す」だとか軽々しく使うな それはとても悲しく苦しいこと でもあなたを生かしておくわけにもいかない だから』 「死ね」 「ガハッ…、ア、アアアア、グハァ――――」 さらに血を噴射し、身体を破壊させた一方通行は静かになった…。 「ユー、お前…?」 近づいてくるユーに対して士郎は明らかに狼狽えていた。 圧倒的だったはずの一方通行を一瞬で沈めた? 『怪我してる』 「ああ。けど大したことねぇよ」 ユーが士郎の胸に触れると、みるみる傷口が塞がっていく。 参加者の中でも上位に位置する実力を持つ彼女には、強い制限が課されているのだったが、軽い傷ならほぼ完治できた。 『私の手には治す能力 血液には不老の力がある』 「そうなのか。でも俺より修造を頼むよ。俺は紗季を探してくるからさ」 『分かった』 「ところで、さ。一方通行は…その、死んだのか?」 『多分 でも』 『ドラえもんが私の能力に干渉しているから 分からない』 修造のイキイキするぞ!という声を聞きながら、士郎は紗季を探しに― 妙な感覚に囚われた。 それも青天の霹靂のことであった。 腹部に不可解な衝撃、そして激しい痛み。 視界がぐるんと一回転し、ある一点だけを見つめるしかできなくなった。 (おい、嘘、だろ…?) そこには真っ赤になった人影、それを最後に見て、士郎は意識を完全に失ったのだった。 「はァ~い、まずは一人ってことだ」 「士郎ッ!!お前ッ!!!」 修造が怒気をはらんだ声とともに一方通行を睨みつける。 ユーは表情に出さないこそすれ、内心では動揺していた。それを無理矢理抑える。 一方通行が発射したのはエアライドマシン・ウイングスター。 運動量のベクトルを操作し、質量・速度ともにまさにミサイル。 尖った先端が士郎の身体を真っ二つに引き裂いたのだ。 まだ手を触れれば助かる―そう見込んだユーが士郎のところへ駆けつける。 ―が、ぐらりと急な頭痛に足がもつれ倒れ込んでしまう。 能力からくる制限が思いの外強かったらしい。 その隙を一方通行は見逃さない。 右手を振り上げ、ユーの命を摘み取るべく飛び上がる。 『あなたは何者?』 鮮血。 ユー自身の血の池に身体をうずめた。 「一方通行アアアアアア!!!!」 修造が拳を握り、殴りかかる。 顔を涙で濡らしながら。 「ザコが」 転がっていたパチンコ玉を適当に投げる。 対象を、見てすらいなかった。 「うっ」 その死の塊は、修造の心臓を貫き、無機質な音を立てて転がった。 その玉の色は、赤色に変わっていた。 仰向けに倒れた修造は動かない。 宣言通り、一方通行は三人全員を殺してみせた。 ◆ 一方通行にはベクトル操作能力がある。 運動量・熱量・光・電気量などといった向きを観測し、触れただけで変換する能力。 血液の流れも勿論その例外ではない。 ユーの能力で殺されかけたとき、とっさの判断で血流操作を行った。 致死に当たる血液が外に出ていかないように内側に止めたのだ。 ユーに課された制限もあってか、ほぼ奇跡的に一命を取り留めることができた。 あとはもうゲージMAXの力を使い、流れた血を元に戻すだけ。 失敗のリスクはあったが、結果はこちらに傾いた。 つまり、運は一方通行を味方したのであった。 ◆ 「さて、これからどォしようかねェ」 これで3キル。このペースを維持できればすぐ終わる。 一回の放送ごとに三人、ってのをノルマにしていくか。 といったところで、今まで大人しくしていた腹の虫が喚きだした。 ここいらで朝食でも採って、どこかで休息でも取ることにしよう。 その前にこいつらの支給品でも奪うか。 まず胴体が泣き別れになった男の支給品。確かマジュツシとか訳わからんことを言ってたな。 今となってはどうでもいいことだが。 持ってたものはベンチにドライバー、それと鉄パイプ。どれも武器ってわけにはいかなそうだ。 飛ばす分には使える。意外と悪くない。 次に鎧を着た女。一時は死ぬかと思ったがなんとかなった。 こいつは血の流れを逆向きにして爆発させたので確実に失血死しているはずだ。 念には念を、と心臓にさっきの鉄パイプを突き刺しておく。 支給品もメモ帳と録でもないものだったので放置しておいた。 最後に一般人の男。 「…がァッ!?」 これこそまさに青天の霹靂。 なんで俺の左腕が宙に舞っていやがる!? 「ははは、これは俺の怒りだ」 手に輝くナイフを持ち、乾いた声でそう言い放つ男。 松岡修造であった。 …馬鹿な!? コイツは死んでいたはずでは…。 「ハッ、いいぜ。テメェもこの女と同じ運命にしてやるぜ」 ◆ 呆気ない幕切れだった。 相当に虫の息だったのだろう。 ナイフを砕き、血流操作をしただけで修造は動かなくなった。 何故生きていたのか疑問なぐらい、一瞬でカタがついた。 また、修造のポケットには服があった。 青を基調とした西洋風の服であり、少々気に食わないが血まみれの服よりマシだろう。 腕の回復にも時間がかかる。 予定通り、どこか安息の場所を探すとするか。 それと、コーヒーがあるとありがたいんだが。 【B-5/1日目・朝】 【一方通行@とある魔術の禁書目録】 [状態] 疲労(大)、全身ダメージ(大)、左腕欠損、興奮、ゲージMAX、無垢なる魔性の餌食、アクセロリータ [装備] ゲジマユ@MUGEN、パチンコ玉@現実 [道具] 支給品*4、鉄パイプ@現地調達、精密ドライバーセット@現実、阿部さんのベンチ@くそみそテクニック、 トラウィスカルパンテクウトリの槍@とある魔術の禁書目録、囮用マルス王子の服@ファイアーエムブレム [思考・状況]0:対主催だが優勝するのがてっとり早いかもしれねェ…! 1:休息を取る 2:マジュツ、ねェ… 3:コーヒーが欲しい ※ベクトル変換能力に制限が設けられていますが気付いていません。でもあんまり関係ないかもしれません。 ※ゲジマユ化して狂キャラになりました。 ※魔術について多少興味を持ちました。 ※ウイングスター@カービィのエアライドは壊れました。 ◆ 「ねぇキュゥべえ。さっきの音、何?」 私は明らかに狼狽えた声で問う。 返ってくる返答は大体予測できてはいたが、聞かずにはいられない。 『さあ。僕にはよくわからないけど、もしかしたら戦っているんじゃないかな?』 曖昧な回答。ただし、それは十分すぎるほどに的を得ている。 怖い。けど、私はそれでも戦う。 (この"魔法少女"になった力で、敵と戦う!) しかし進む足は止められた。 先ほどの崩壊によって、上から降ってきた瓦礫に道が塞がってしまっていた。 このままでは通れないし、ここから出ることもできない。 「どうしよう…」 『今こそ魔法少女になってみるべきだと思うよ。さぁ、ソウルジェムを出して』 「う、うん」 魔法少女。 そんな日曜の朝に放送するアニメじゃないんだから。 なんて、いつもの自分なら言うだろう。 でも今は違う。 私の、私だけの魔法少女! 水色を中心に、メイド服を象った派手な衣装。 髪はサイドに軽く纏める。 手に持つ武器は、細長い鎌。 新たな魔法少女、永塚紗季の誕生である。 「で、これを叩っ斬ればいいのね」 目の前の岩の塊を見る。 本当にこれを壊すことができるのか、という一抹の不安を持ちつつも、そんなことはないとかき消す。 使い慣れない鎌を真っ直ぐに構え、垂直に振り下ろす。 「はっ!」 割れた。 切れ口は非常に綺麗に、パックリと岩肌が顕になる。 「やった!」 魔法少女っていいものだわ、と興奮気味にはしゃぐと、いざホールへと入っていく。 そこで見たものは、絶望の地獄だった。 「嫌あああああああああああああああああっ!!!」 松岡修造の死体。 衛宮士郎の死体。 ユークリウッド・ヘルサイズの死体。 いずれも、赤黒く染まり、生臭い血の臭いを放っていた。 見て瞬時に理解した、それは既に死んでいると。 込み上げてくる吐き気に、抑えが効かず盛大に吐き出してしまう。 幸い、何も口にしていなかった分胃液を吐き出すだけだった。 それでも、苦しい胸焼けが私を襲った。 「そんな…どうしてこんなこと……」 生まれて十数年、死体なんてものを見たことがない。 トラウマを植え付けるには十分すぎた。 「さ、き…」 「え!?」 するはずのない声。声の主は、血だらけの松岡修造だった。 出血が夥しい。生きているのが不思議なくらいだ。 きあいのハチマキの効果で、皮一枚の状態で耐えているのだ。 「修造さん!」 「よか、た。無事だったんだな」 「私より修造さんです!何があったんですか!!」 絶え絶えになる声を搾り出す修造。 私は理解してしまった。彼はもう助からないと。 修造の手を両手でしっかりと握る。 「アクセラ、レータ。そいつが俺たちを…。 まだ近くにいる、早く逃げ、ろ…」 「嫌です。逃げるなら修造さんも!」 「紗季。俺はいい。自分を、もっと自分を大切にしろ!」 私は泣いていた。 会ったばかりで、まだ親交を深めている途中だった。 私は修造さんを尊敬していた。すごく熱い人で、素晴らしい人だと思った。 だから、だから…。 「もっと熱くなれよ…」 握った手が急に重たくなった。 【衛宮士郎@Fate stay/night 死亡】 【ユークリウッド・ヘルサイズ@これはゾンビですか? 死亡】 【松岡修造@現実 死亡】 【残り 45人】 【B-5/1日目・朝】 【永塚紗季@ロウきゅーぶ!】 [状態] 絶望、恐怖、悲しみ [装備] 永塚紗季のソウルジェム [道具] 支給品、キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ [思考・状況]0:みんなで帰り、またバスケをする 1:… 2:殺し合いを止める ※魔法少女になりました。詳しいことをキュゥべえから聞いていません。 ※塔での出来事を知りません。 ※B-5塔が半壊しました。 ※B-5塔内に、三人の死体があります。 ※ユーの死体の傍にメモ帳があります。 ※松岡修造の死体に、きあいのハチマキ@ポケットモンスターがあります。 ※たけし城@青鬼は壊れました。 No.065 時既に時間切れ 時系列順 No.067 [[]] No.051 Our Innocence 一方通行 No.040 もっと強くなりたいあなたに 衛宮士郎 GAME OVER No.040 もっと強くなりたいあなたに 永塚紗季 No.040 もっと強くなりたいあなたに 松岡修造 GAME OVER No.040 もっと強くなりたいあなたに ユークリウッド・ヘルサイズ GAME OVER
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「…ふむ…」 ゴポ、という音とともに声がある空間に響く。 「…予想以上に早いな。そこまで垣根帝督が愛しいか…」 とある『人間』が言葉を放つ。 それは男にも女にも見え、子供にも老人にも見え、聖人にも囚人にも見えた。 アレイスター=クロウリー。 学園都市総括理事長。加え、世界最高の魔術師。その『人間』は、緑色の手術衣を着、弱アルカリ性培養液で満たされたビーカーの中に、逆さに浮いていた。 『この状況…どうするつもりだ?』 突然、その『人間』の脳に直接響くように声が聞こえた。 アレイスターが『存在』している建物には、玄関はおろか、窓さえ存在しない。そのため、ここに来るには『空間系能力者』が必要とされる。 この建物の『案内人』を勤める結標淡希が能力を使った形跡は無い。 だが、アレイスターはうろたえることなく『答える』。 『ああ。だからお前にある頼みごとをしたい。エイワス…いや、やはりドラゴンの方が良いか?』 ドラゴン。 それはこの学園都市の統括理事会クラスの人間しか知らない言葉。 もちろん、『ドラゴン』などという単語なら、ほとんどの人間が知っているだろう。 だが、ここにおける『ドラゴン』という単語の意味を知る者は、ほんの一握りしか存在しない。存在してはいけない。 その、『ドラゴン』が『言う』。 『頼みごと…まさか、私に戦線に出ろと?』 『まさか。そんなことをしたらこの『計画(プラン)』が大幅に揺らぐ』 『では?』 『まぁ、『彼ら』に力を与えてほしいのだよ。フィアンマを撃破したとはいえ、あれには無駄な人間が手を差し出しすぎた』 『…具体的に、どうやって?』 『一種の『天使の力(テレズマ)』だと思ってくれれば良い。もともとお前の力を取り込ませておいた『滞空回線(アンダーライン)』を『彼ら』の体内に取り込ませ、一時的に能力を引き上げる、ということを行ってほしい』 『ほう。そして、私の力が不用意に流れ込みすぎると『人間の体』だと持ちこたえられないから、その力の調整をしろと?』 『ああ。状況に応じて最適な力の量、質を注いでほしい』 『…まぁ、いいだろう。…それよりも』 唐突に、『会話』が途切れる。 『…本当に、私の力が『彼ら』には必要なのか?』 『…分からない』 アレイスターが答えた。 『もしかしたら、彼らだけの力でこれを乗り越えることは出来るかもしれない。だが、出来ないかもしれない。 …不確定要素が多すぎる。浜面仕上の存在のみが不確定要素だと思っていたが…』 『まだあるだろう』 『・・・』 『あの二人の父親は、厄介だと思われるぞ?』 『…』 はぁ、とアレイスターがため息をはく。そして、何を『人間』じみたことをやっているのだ、と自嘲する。 『…あの二人が、最大の不確定要素だ』 突然、アレイスターの目の前にいくつものモニターが浮かび上がる。周辺には、そのようなことが出来る機器は存在しない。 『あの対フィアンマ戦。無駄な人間、と言ったが、実質あの二人だけのようなものだ』 『…あの二人は、いったい何者だ?』 『…おそらく、だが…』 そこで、冷たい沈黙が流れる。 『…『幻想守手(イマジンガードナー)』、『現実守手(リアルガードナー)』だと思われる』 『…ほう!もう出てくるか!!あの存在は、この計画のwyyt段階における対hfrekhgのときに出てくる予想では!?』 興奮しているのか、この世界のヘッダでは表せない言葉をドラゴンが『発する』。 『…少しは落ち着け』 『これが落ち着いてられるか!!と言うことは何か、『現実操者(リアルコントローラー)』はあの小娘だと!?はははっ!!!『幻想操者(イマジンコントローラー)』と『現実操者(リアルコントローラー)』が至近距離にいるというのか!!!!』 その後、もはや発狂したような口調で次々と言葉を発していくドラゴン。 またもやため息をついたアレイスターは、ひとつのモニターを見る。 そこには、上条当麻と禁書目録、御坂美琴と白井黒子がいた。 「…この情景が、いかに恐ろしいものか、本人たちは分かってないのだろうな・・・」 そして、もはや3回目になるため息をついた。 「さて」 10月9日。土曜日。 「…とうま」 とある病院内。 「…アンタは」 男性一人。 「…この殿方は」 女性3人。 「いったい、とうまはいくつ事件に巻き込まれれば気が済むのかなぁ!?」 「いったい、あんたはいくつ事件に巻き込まれれば気が済むのかしらぁ!?」 「いったい、あなたは何回美琴お姉様とイチャイチャすれば気が済むぐはぐっ!?」 3人そろって同じようなことをいっている(様な気がする)のだが… その言葉の対象となるとあるとんでもなく不幸な少年は叫ぶ。 「別に俺だって巻き込まれたくて巻き込まれたわけじゃねぇ!!ツーかインデックス、お前があいつに捕まるのが悪いっ!!!」 その反論もむなしく。 「とうまはそうやって人に責任を擦り付けるの!?というか、あれは仕方が無かったんだよ!!フィアンマが使った魔術は私の10万3000冊の中には入ってなかった!!!」 「嘘つけぇい!!そんなことありえるかっ!!あいつの攻撃が俺の『右手』で消せたんだから、あれはれっきとした『魔術』だろぉ!!?」 「魔術だけど、私の中には記憶されてなかったもん!!!」 「っつーか、つまりあんたはこの子を助けるためにあの馬鹿じゃないのってくらい強かったあいつに挑んだってわけね!!??」 「そうでございますわ!きっと汚らしい猿人類の欲望を満たすために美琴お姉様に手を出したに違いなおうぐふっ!!??」 「というか美琴、それがお前にどう関係あるんだ!?今回はたまたま父親に会いに来た場所が対フィアンマ戦の場所でしたっていうことでお前も仕方なく参戦したはずだが、俺の参戦理由はお前には関係ないはずっ!?よし、上条当麻、完璧な言い分っ!!!!」 「…だから、あんたがフィアンマとかいう奴に挑んでなかったら私も挑んでなかっ…」 続きを言おうとした美琴が、何故か顔を赤くして俯く。 「は?」 と、とっさに上条は言ってしまったわけだが、 「とーまーぁぁぁ!!!!」 「ぐぎゃぁぁぁぁぁっ!?なぜ私こと上条当麻はあなた様インデックス様に噛み付けられなければならないのでしょうかっ!?」 「美、美琴お姉様っ!?おのれこの猿人類めが、私が肉片ひとつ残らずっ―――っ!!!」 「…」 さらに何故か白井黒子が太ももに巻いてあるベルトから金属矢を取り出し、美琴が俯きながらぶつぶつ何か言いながら髪からばちんばっちんと音を鳴らす。 「ちょ、待って!?なぜ私ことものすごく不幸な上条当麻が大能力(レベル4)の『空間移動(テレポート)』の方の攻撃と、学園都市第3位の『超能力者(レベル5)』の『電撃使い(エレクトロマスター)』の方の能力による攻撃を喰らわなければならないのでしょうかっ!!!???」 だが、やはり上条の反論もむなしく。 インデックスの噛み付きは威力を増し、白井は『ふ、ふふふ…これでこの猿人類がいなくなればお姉様は私のもの…うえっへっへ…」と言い、本格的に威力を増していく電撃に恐れをなしているとき。 「…よォ、と声をかけようと思ったが…ここは遠慮しとくぜ…」 「『一方通行(アクセラレータ)』ッ!!!!」 上条は反射的に叫んだ。その叫びは、絶望しかない暗闇でまばゆい光を見つけたような者の声だった。 「…俺はこんなめんどォくさそうなことには関わらねェぞ…」 叫ばれた『一方通行(アクセラレータ)』は、何か集団でいじめられている子どもを見るような目つきで上条を眺める。 「賢明な判断ですわね、学園都市第1さん」 「あんた今ここで手を出すっつんなら、ネットワークぶっ壊すわよ」 「あれ…?あなたは…?」 3人ともども、学園都市第1位の者に掛ける言葉とは思えない言葉を掛ける。まあ、ひとりはその事実を知らないのだが。 「…そうゆうことだ。俺が殺せるぐらいにはとりあえず生き残っとけ」 「なにぃぃぃ!?まだお前俺を諦めていないのかっ!?いやいい加減…」 「…お前」 一方通行が上条をさらにかわいそうな人間を見るような目で見る。 「へ…?」 と、上条が思考するまもなく。 「とうまぁ!とうまは女の子だけじゃ飽き足らなく、この人にもあんなことやこんなことをした上であっさり捨てたって言うのかなぁ!!??」 「は!?あ、いや違いますよインデックスさん!!??あの発言はそういう意味じゃなく、『まだ俺を殺すことを諦めていなかったのか』という意味のものでして!」 「あんたねぇ!!!」 「(…よ、よし…これで美琴お姉様をめぐる最大の強敵(ライバル)が確実に葬られそうですわね…そうなればっっ!!!)」 と、なにやらいろいろと勘違い(していない者も1人居るのだが、有効利用中)されているところで、さらに何人か上条の病室に訪れるものが居た。 「あっれー?何であなたはちゃんと病室に入ろうとしないの?ってミサカはミサカは疑問を投げかけてみる」 「それには子供には分からない深い深い事情があるのです、とミサカはあなたに現実を直視させないような言葉を発します」 「御坂妹ッ!!!お前も何か壮絶な勘違いをしていないか!?」 「いえ、ミサカはミサカたちの上位固体である『打ち止め(ラストオーダー)』に汚い現実を見せないようにしているだけです、とミサカは特に考えることなく答えます」 「!?って、ちょっとあんた――――ッ!!!」 とそこで、美琴が場違いに緊張した声を発する。その美琴の視線の先には。 「…?ミ、サカ…??ま、まさか」 「あんたは何も聞くな!そして何も見るな!!さらに何も問うな!!!絶対めんどくさいことにっ!!」 「お姉様ッ!!!いったい、黒子にどのような隠しごとをっ!?」 と、なにやら場の雰囲気がよくつかめなくなったとき。 「に、逃げてくださいッ!!!」 突然、切羽詰った声が病室内に響いた。 全員の視線が病室の扉に行く。そこには、見覚えのある少女が居た。 滝壺理后。 対フィアンマ戦のときに一緒に戦ってくれた上条たちの仲間である。彼女は特にフィアンマ戦では致命傷は負っていないのだが、前々から使用していた『体昌』というものがいろいろあるらしく、今は絶対安静を保たなければいけないはずなのだが。 「超能力者(レベル5)が、あなたたちを狙いにここを襲撃してきますッ!!!」 やはり切羽詰った声で彼女は言い放った。 「…?」 だが、やはり一同はいまいち状況がつかめない。その一同の薄い反応を見た滝壺は、 「ちょ、超能力者たちがここを襲撃しようとしています…もう、ここの病院にいる一般人の方にも避難を開始してもらっています…」 そこまで言ったところで、滝壺の体がふらっとゆれ、熱中症にかかったように後ろに倒れこむ。 とっさに御坂妹が彼女を抱きかかえる。 「…どういうことだァ?」 一方通行がしらっと言う。 そこに。 「いいからっ!説明してる暇はねぇんだ!!もうお前たち以外の人間は全員避難したから、さっさとお前らも逃げろ!!」 浜面仕上。 それがこの声の主の名前だ。彼もまた同様に、対フィアンマ戦で一緒に戦ってくれた仲間である。 前は『武装無能力者集団(スキルアウト)』のリーダーを務めていた時がある彼が、動揺しまくりの声で言う。 「説明は出来ない!さっさと逃げろ!!!」 「待て」 もう半分パニック状態に陥りつつある浜面に、冷静な声で一方通行が問いかける。 「つまり、俺らを潰すために能力者がここを襲撃する、ってェことでいいんだよなァ?」 「あ、ああ。だけど全員超能力者(レベル5)で、8人も居るって…」 「もうどうせ逃げられねェだろ。しかもこの病院内には他の奴らは居ない。だったら」 一方通行が言葉を切る。 「ここを戦場にしたほうが早くねェかァ?」 「ばっ…」 その言葉にいち早く反応した美琴が言う。 「何言ってんの!?いくらあんたが学園都市最強だからって、『超能力者(レベル5)』8人を相手できるはず無いでしょうが!」 「…の前に、なぜその襲撃の事実が彼女に分かるのか、ということは誰も気に止めませんの…?」 白井が不思議そうな顔で言う。 滝壺理后の能力は、『大能力(レベル4)』の『能力追跡(AIMストーカー)』。一度記録したAIM拡散力場の持ち主をどこにいようとも確認・追跡できる、という能力だ。それ以外にもあるのだが、今重要なのはその能力。 白井黒子以外は対フィアンマ戦に参加(とあるひとりはネットワーク経由で)しているのでそのことが分かっている。 白井にもそれを説明してやればいいだけなのだが。 「時間が無いらしィから説明はなしだ。とりあえず団体で行動する。 俺と打ち止め(ラストオーダー)と滝壺、浜面。上条と『超電磁砲(レールガン)』と妹達(シスターズ)と白井で行動だ。これくらいの戦力があればそうそう死なねェだろ」 そういって、一方通行は立ち上がる。 「反論は?」 誰も何も言わない。 状況はあまりよくつかめていないが、互いがかなりの信頼関係を築き上げている分、そのあたりは固い。 「よし」 上条がベッドから立ち上がる。 「まーた不幸なことがおきるっぽいが…」 もはや慣れました、という表情をつくり、 「全員、死ぬんじゃねぇぞ」 その言葉を聞き、一斉に病室から駆け出した。 「…くそ…」 ある『人間』が、画面のモニターを見て言う。 「…やはり、『幻想守手(イマジンガードナー)』達が関わっているか…」 その画面には、先ほどの上条達のやり取りが映っていた。 『あまりにも、不信感が無いな』 またもや脳内に直接『響く』様な声が『聞こえた』。 『…まさか、私の『計画(プラン)』に気づき…?』 『それは無いだろうな。おそらく、子供たちが妙に不信感を持ち、行動を鈍らせて負傷する、という事態を避けたいだけだろう』 『…』 アレイスターは応えなかった。 『…さすがに、この戦力では持たないな』 『確かにな。しかし、あの『幻想操者(イマジンコントローラー)』が事件に関わっているのだから、すぐに応援は集まるだろう』 『その応援も、微々たる者、ということは十分にありえる』 『心配性だな。何かあれば私が出る』 その言葉で全てが収まる。それほど説得力があるのだ。 もはや、『それ』を造りだしたアレイスターより『それ』が強くなっている今。 『ふふ。しかし、一方通行はやるな。とりあえず戦力を固め、生存率を上がらせることに専念しているようだ』 『…まあ、そこは一番実戦が多いからな…』 1万回以上は戦場に出ているのだからな、とドラゴンが笑いながら『発する』。 『体制を整わせる気か。だが…』 そこで、ドラゴンが言葉を切る。 『そんなに消極的な答えで、奴らは持つかな?』 『…なんとも言えんな。もしかしたら、『超電磁砲(レールガン)』が今『覚醒』するかもしれんし、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が『真』に目覚めるかもしれん』 『はは。たいした戦力だ』 軽い口調で言うドラゴン。 『とりあえずは、大丈夫だろう。『奴ら』にしてもまだ未完成のはずだ』 『…『超能力者(レベル5)』たち、か…』 アレイスターが考え込むように目を閉じる。 『…しかし、垣根聖督はこれだけの戦力で本当にお前を追い詰められる、とでも思っているのか?』 嘲るようにドラゴンが言う。 『こんな矮小な力、イギリス清教のトップでも一人で潰せる』 『…ローラ=スチュアート…』 またため息をつきそうになるアレイスター。 『…まぁ、事の成り行きに任せるとするか…』 アレイスターには珍しく、適当に判断を下した。 「いやーしっかし、警備員(アンチスキル)とか風紀委員(ジャッジメント)がどーたらこーたらって聞いたときはどんな奴らかと思ったが… ような単なる雑魚ってことでいいんだな?」 「ざっくばらん過ぎるわね…まぁ、合ってるんだけど」 第7学区にあるとある病院に向かっている8人の超能力者(レベル5)。 彼らはその病院に行くまで、邪魔だと思ったものは消し飛ばし、ほしいと思ったものは強奪し、と…やりたい放題していた。 彼らはある少年たちを殺す、または捕縛する…ようは、戦闘を目的として作られた存在だ。そして、戦闘に関するスペックを限界まで高めるため、『常識』などという項目は彼らの頭には元からいらず、そして造られなかったがためにこのような行動が取れるのである。 もちろん、そんなことをすれば警備員(アンチスキル)や風紀委員(ジャッジメント)が動くのは当然なのだが、彼らはそれさえも潰してきている。なので、ここらいったいは戦闘の爪あとがまだ激しく残っている。残骸が燃えていたり、建物が不気味な音を上げながら崩れていったり…などといった事だ。 だが、そんなことを一切気に留めず、まるで天気のいい日の散歩のようにのんびりと歩いている。 ふと、そのうちのひとりが口を開いた。 「その、今回のターゲットは、私たち全員が動かなければ潰すことが出来ないほど強力なのでございましょうか?」 金髪碧眼、かなり整った顔立ちに整った肢体を持った20代半ばくらいの女性が言う。 「…正直、分かりかねるな。先ほどはああも言ったものの、実際のところ片手間で済ませられるかもしれん」 いかにも紳士風な男が応える。30代後半のように見えるのに、なぜか杖など突いている。 「まあ、結局ノところどうせ殺すんだしサ。そんな相手ニ感情なんか持ってどうするつもりダ?」 10代前半のような男子が、おかしな口調で喋る。彼の顔には喜怒哀楽、すべてがあるように思える。 「そんなこと言っておきながら、殺せなかったらどうするつもりなの~?僕に殺される覚悟、ある~?」 先ほどの少年と同じような容姿をした男子がつまらなさそうに言葉を吐く。間延びした口調とは裏腹に、彼はまったくの無表情だ。 「仲間割れは避ける事項だと思われます。よって、そのような行動があった場合、強制的に止めに入らせてもらいますので、そのつもりで」 今度は10代後半のような少女が応える。顔はまっすぐ前を向いているのだが、なぜか表情は暗い。 「はん。そんなガキ相手に本気出す気?たかが知れるわ」 不機嫌そうな声があたりに響く。その声の主は明らかにイライラしているような表情を浮かべ、体中からピリピリした空気が漂っていた。 そこに。 『…君たち。もうすぐ戦闘に入るのだから、少しは緊張していけ。あくまでこれは『戦闘』だぞ』 突然、五感に語りかけるような声が彼らの脳に堕ちてくる。 「…」 それに、誰も取り合わない。 妙な沈黙があたりを支配した。 『…このような空気で、彼らに臨め』 そう言われ、ふと気づいたように誰もが前を見る。 そこには、とある病院があった。 「…で?今回の不幸を持ってきてくれるすばらしい相手は具体的にどんな奴なんだ?」 上条が、壁にもたれかかった姿勢のまま言う。 「知らないわよ。まあ、最初はあたしと黒子で様子見に行くから。あんたのその右手は相手によっちゃぜんぜん効かないし」 美琴が黒子の方をチラッと見て言う。 「それが最善策でしょうね」 珍しく黒子がその手の発言をせずに言う。状況が状況なのを理解しているのだろう。 御坂妹は、インデックスを安全な場所に避難させるため、現在はこの病院内にはいない。そして、それが出来たならば応援を頼むようにしている。 つまり、 「って、え…?俺、ひとり…?」 「何か問題でもありますの?学園都市第1位を拳一つで倒した勇者さん♪」 何でお前がそれを知っているんだ、と思わず突っ込みそうになった上条だが、この際それはスルーする。 「てか、相手の能力が能力だったら、俺本当に拳だけで戦うことになるのですが?」 上条が素朴な疑問を投げかける。 それに二人の少女が同一のタイミングで応える。 「あ、そーか。なんかそこまで頭回ってなかったわ。んじゃ全員で行動ね」 「そこら辺で勝手にのたれ死んでればいいんですわ♪」 まったく相成れない二つの言葉。 「…あんたねぇ…」 「…お姉様。そこまでしてこの殿方と一緒に行動したいんですの?」 「あんた、こいつ意外に使えるって事知ってる?それと、曲がりなりにもあの『一方通行(アクセラレータ)』を倒したんだからね、こいつ」 「美、美琴…」 なぜか上条の目が潤む。というか、この状況でそのような発言が無かったらマジどうしよう?と考えていたところだから当然といえば当然だが。 「…なんで、そんな目で…」 それに美琴が、なぜか俯く。 「おのれこの――――」 と、いつもの展開に発展しかけたところで。 ズゴォォン!!! 建物全体が振動した。 「まずは俺が戦線に出る。打ち止め(ラストオーダー)、滝壺、浜面はとりあえず控えだ」 一方通行(アクセラレータ)が言う。それに誰も何も言わない。 「でもまァ、どうせ俺一人じゃどうにもならねェだろォからな…ある程度やったら戻る。 そん時は、滝壺、お前も戦線に出ろ」 「テメェ!!!」 浜面が一方通行(アクセラレータ)の胸倉を掴み上げる。 「滝壺が今、どんな状況だか分かってんのかぁっ!?」 「分かってる。絶対安静を保てって、あのカエルから言われたんだろ?」 珍しく一方通行(アクセラレータ)が間延びしない口調で言う。 「分かってんなら…」 「だからってなァ」 浜面に最後まで言わせず、一方通行(アクセラレータ)が口を開く。 「この状況で絶対安静なんてしてたら、それこそノタレ死んじまうぞ?」 「…」 浜面が黙り込む。 「浜面…」 滝壺が、浜面の背中を優しくなでる。 「…(なっさけねぇ…)」 浜面が、誰にも聞こえないような声で言う。 「…分かった。だが、滝壺が戦線に出るときは、俺も出るぞ」 「馬鹿か。これは単なる喧嘩じゃねェンだぞ?この戦いに参加してる奴が全員でひとつの国ぐらい、滅ぼせるかもしれねェって面子がそろってる戦いだ。お前は所詮無能力者(レベル0)。お前の出番は…」 一方通行(アクセラレータ)がそこまで言ったとき。 「…連れてってあげて」 幼い声が聞こえた。 「私からもお願いするから。この人を連れてってあげて」 それは、いつもの口調とはまったく違った打ち止め(ラストオーダー)の声だった。 「…何考えてやがる」 一方通行(アクセラレータ)が打ち止め(ラストオーダー)を睨みながら言った。 「何いってンのか分かってンのかァ。つまり、こいつに死ンで来いって言ってるもンだぜ?」 「大丈夫って、ミサカはミサカは自信にあふれた言葉を発してみる」 突然、元の口調に戻った。 そして、優しく笑いながら。 「人は、大切な人を守るとき、100%以上の力を出せるんだよ?」 その言葉に、浜面と滝壺が顔を見合わせる。一方通行(アクセラレータ)がとある光景を思い出し、チッと舌打ちする。 「…これで最後だ。本当に良いンだな?」 真剣極まりない口調で一方通行(アクセラレータ)が言う。 一方通行(アクセラレータ)は、自分のことを『悪党』だと自負している。 その『悪党』には特に『これをしなければならない』、『これをしてはならない』などといったことは設けていない。が、光を浴びて生きている人間が闇の世界を生きる人間の犠牲になることは絶対に許さない、という一方通行(アクセラレータ)自身のルールはある。浜面仕上は、以前は武装無能力集団(スキルアウト)を束ねていたが、一方通行(アクセラレータ)にとっては十分な光の世界の住人である。 なので、一方通行(アクセラレータ)は自身のルールに従い、もう一度たずねる。 「本当に良いンだな?」 その真剣な言葉に、 浜面仕上は答える。 「俺は、滝壺を守るためならなんだってするさ」 何かのドラマの1シーンのような、甘ったるい台詞を吐いた。 しかし、この状況ではなかなかこんな台詞は吐けないであろう。 つまり、 浜面仕上という人間は、滝壺理后という人間を最優先している、ということになる。 それに一方通行(アクセラレータ)は、 「…勝手にしやがれ」 そういい、電極型のチョーカーに手を添え、スイッチを入れる。 「打ち止め(ラストオーダー)」 「なに?」 打ち止め(ラストオーダー)は、まだもとの口調に戻らずいう。 「ついて来い。考えがある」 そういい、打ち止め(ラストオーダー)の手を掴む。 「え、考えって何?ってミサカはミサカはあなたにたずねてみる」 元の口調に戻り、少し顔を下に向けながら一方通行(アクセラレータ)に聞く。 「いーから。さっさと行くぞコラ」 「ちょ、いきなり足の裏のベクトルを操作されるときついかもっ!ってミサカはミサカは自分の身に迫る危機に恐怖感をあらわにしてみるっ!!」 そんな打ち止め(ラストオーダー)の言葉を一方通行(アクセラレータ)は無視し、足の裏のベクトルを操作し一気に病院を出る。 「…」 唐突に二人にされた浜面と滝壺。 「…浜面」 滝壺が不安そうな声で言う。 「超能力者(レベル5)相手に、どうやって戦うつもり?」 「うっ!?実はあんまり考えてなかったことをいきなり言われたっ!?」 「…浜面」 「いや、でも拳銃くらいは持ってますよはい!」 「…浜面」 「いや、拳銃くらいじゃどうにもならないってことも分かってますよはい!!??」
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 第3部 第10話 第二章(5) 9月11日 午前0時 <美琴サイド> 研究所内 副所長室 私は、当麻と一方通行を「送った」後、モニターから片時も目を離さず、情勢を 見守っている。超短時間だったが理想送りの解析結果はおおむね正確だったのだ ろう。2人の位置は確実に追跡できている。 (まあなんとかなりそうだな) 私は胸をなでおろしながら、あくまで慎重に情勢を見守る。 (あの2人なら・・少々のことならぶちのめす・・はず) だけど、もしも当麻は失えば私はこれから生きていけるのだろうか・・正直 不安はつきない。事前の情報では1体の劣化したとはいえ魔神がいる。 AAAの砲撃により劣化、弱体化術式を撃ち込まれ全部死ぬはずだったのが、計算誤り で1体がまだ死んでいない。 (まあ、アレイスターが納期前に実証試験もやらずに無理やり実行させるから失敗 しても当然よね。) それでも、もう・劣化したから、位相を操る能力は・・たぶんほとんど残っていない だろう。 大丈夫・大丈夫・・それに、最悪無理やり回収すればいい。 それより問題は一番の危険人物木原唯一をどうするか。 力技で殺すのは簡単。証拠なんて何にも残さずに、だが、アレイスターに くだらない借りは作りたくない。 一応、これでも風紀副委員長・・ある意味正義の味方だ。殺すのではなく、法律で彼女 を裁く。 (まあこの小細工が役立つだろうかしら・・) 上里の右手の詳細情報と・・その嘘の保管場所を上里勢力と、木原唯一に送り付けた。 私は、能力で再度取り付けた自分の腕を伸ばし、自分の士気を鼓舞するように 一言を放つ。 「全員まとめて器物損壊の現行犯で一網打尽にしましょう」 「そのほうがあとくされなくていいでしょ。」 私は、モニターを確認し、お客様が周囲に散開していることを確認する。 「さあてそろそろ始めましょうか・・」 私は、私の小細工にはめられた木原唯一とそそのかされた少女達に 憐憫の情をこめながら、警備ロボットを稼働させる。 「ふふ・・ついにこの日が来たのね・・人はいつまで戦うのかしら」 「ロールアウトしたファイブオーバーその威力見せてもらうわよ」 私は、木原唯一に、上里の右手の情報をインプットし、上里ハーレムには右手が 上里を取り戻す鍵という情報をインプットした。 双方に、反面の事実だけを伝えることで、木原唯一に、上里ハーレムに接触させ、 ただ上里の帰還を願う上里ハーレムは、唯一を受け入れその指示に従っている。 もしも、上里ハーレムがクールボックスに保存する右手が本物なら唯一は上里 ハーレムを使い世界をも制覇出来たかもしれない。 だが・・ あの右手は模造品デコイ・・私が再現した、ただの模造品。 (まあDNAレベルまで一緒だから判定しようもないけどね) 疑うこともなく単なる偶像に振り回されるのは、迂闊としか言いようがないが、私の 研究所を破壊し、私の暗殺を企てる以上、犯罪者は犯罪者として糾弾させてもらう。 私は、網にかかった侵入者の末路に想いを馳せながら、思考を切り替える。 「結標、木原唯一を指定の座標まで転移させてくれない。」 こちらがせっかく和解の機会を提供したのに、それを無視したやつにはそれなりの 罰を与えよう。 <上条サイド> 俺は美琴に送られた、異世界で目を覚ます。 隣にどうやら一方通行も送られているようで、まずは一安心。 (だけど・・異世界ね・・確かに美琴の言う通り現実世界の延長にしか見えないな) (どうやら・・。しかも学園都市の廃棄物処理場か) 俺は意識を、周辺に移し、状況を確認する。 (どうやらここに上里はいないか) 俺は、美琴にもらった計測装置を確認する。上里の生体反応を確認し、その位置を 表示する装置だ。その表示だと、約5kmほど離れた地点で、上里と魔神1体が同じ 位置にとどまっている。 俺はその情報を一方通行へ伝える。 「で・・上条・・どうする気だァ」 「どうせ、魔神はすぐに俺たちがここに来たことに気が付く」 「待ちかァ」 「いや・・1分以内だろう。今移動している」 俺は、腕時計のような計測装置で、魔神と上里の到着を確認する。 「どうやらおいでなさったようだ」 木乃伊のような奇怪な骨と皮だらけのケッタイナ存在・・ 魔神 僧正 計測器のモニターにはそう表示されていた。 隣に上里?という一見普通の高校生を連れている。 「でエ?」 「とりあえず話好きだから話は聴けとさ、美琴は」 「ほオ・・」 俺と一方通行は、顔を見合わせて僧正が何を言い出すのか身構える。 が、実際には想像以上にぶっ飛んだジイさんだった。 「ほう・・?上条当麻・別名幻想殺しだったかのう」 僧正は、隣の学園都市2位など存在しないように俺だけに話かける。 「で、上里なるものを回収しに来たと・・そうゆう話かのう」 一方通行が、存在を無視されて不服そうに、僧正を睨みつける。 俺は、話をぶち壊されると困るので、一方通行を目で黙らせる。そもそも 圧倒的に戦闘力が上の存在に、できるだけつまらない戦いなど避けたほうがいい。 一方通行は俺の意思を察知したのか、不服そうだが発言を抑える。 「上条とやら、おぬしは御坂美琴がおぬしと婚約する前は、我らグレムリンの魔神 の合意で採点者になる予定じゃった。」 「だが、おぬしにその話をする前に、御坂美琴は我らからお主を取り上げ、我らを 人間アレイスターと結託し、おぬしらの世界から追放した」 「なんて御坂美琴に聞かされていたかのう?」 俺は正誤の判定しようもない話を聞かされ、ただ話を聴き続ける。 「まあ、アレは、御坂美琴は、自分が魔神に相当する存在になりつつあることに気 が付いておらんようじゃがのう・・」 「で・・まあそれは前置きじゃが・・正直な話・・ここは退屈でな・・上里が きたおかげでなんとか飽きずにすんでおるのじゃ」 俺は僧正のなぞかけに意味をやっと理解する。 「で・・上里を譲るわけにはいかない?」 「うほほほ・・それでは高い点はやれんのを・・」 それまで口を噤んでいた一方通行が、たまらずに口を開く。 「おイ・・俺がテメエを愉快なオブジェに変えてしまえば終わりだよなア」 僧正は、相変わらず一方通行などそこにいないかのように反応しない。 一方通行はたまらずに攻撃を始める。 バン・・轟音を立て、ほとんど瞬間的に近隣のビル傍へ移動する。 地面に手を合わせ、地球の自転エネルギーの一部を運動エネルギーに変換し、 目の前にビルにたたきつける。数十万トンはありそうな高層ビルが、超音速に 加速され、僧正へぶつけられる。 「はァ・・これで・・?」 一方通行は今の現象が信じられないのか、目を丸くする。 「ほほ・・なんかぶつかったのかの・・」 僧正は片手、ぶつけられたビルを垂直にはねのける。 「はァ・・一方通行だったかの・・ベクトル操作かの・・」 「なかなか面白い見ものじゃが・・・魔神になりつつある御坂美琴の超荷電粒子砲 とやらに比べてささやかじゃのう・・」 一方通行は自分の渾身の攻撃がまるで通用しないことに衝撃を覚えたのか一言も 発しない。 「つまらんのオ・・上条」 「おぬしの婚約者でも一緒なら、楽しませてくれそうじゃが」 僧正は、片手を振り上げ、持ち上げる動作を始める、たちまち僧正の後ろに 山のような巨大な土塊が形成される。それが、僧正からあふれ出す熱のようなもので 沸騰し、酸化ケイ素の融点約1000度に達し、にぶい光を放出し始める。 ポイ・・ 僧正はためらうこともなく俺たちに投げつける。余りに高速なのか、音すらすぐには 到達しない。 (オイオイ・・まったく話が通用しないぞ。このままじゃ・・一方通行はともかく 俺は死ぬ) だが俺は死ぬことはなく、一方通行が事情を察知し、瞬間的に黒々とした数百枚の羽 根を広げ、土塊を跳ね返す。莫大な小山に匹敵する土塊はすべて散らされる。 僧正は、初めて敵として一方通行を見つめる。 「ほほほ・・一応天使の力の片鱗を使えるか」 「ならば少々遊ばしてもらおうかのオ・・」 僧正は手を大地につけ、なにやら始める。 「ほほほ・・まあどうせおぬしら以外は住民もおらんしのう・・」 「オイ・・何をする気だ・・」 「わからんかの・・」 ドオ・ドオ・ドオ・・ 耳をつんざく重低音のまるで地球が割れるような、轟音とカタカタと震度4くらいの 細かな揺れが次第に強さを増しながら響きわたる。 「マグマ・オーシャンて言葉を知っているかの?」 俺はそれほど成績のよくない高校生当然知らない、が・・隣の一方通行は違う。 学園都市で2番目に優秀な学生。即答する。 「46億年前の地球草創期に地球の表面が微惑星の衝突で溶けていたて話かァ・・?」 「ほお・・さすがに知っておるか・・」 「それをじゃ・・再現させてもらおうかのう・・」 僧正は、軽くまるで電子レンジで米を炊くような口調で、さらっととんでもないことを 言い始める。1兆分の一の力に弱体化されようが魔神は魔神、小さな惑星の表面をす べて溶解するなど些細な事だと。 あっという間に、僧正と俺たちの周辺を除く見渡す限りのすべての大地が、溶岩の ように煮えたぎり、莫大な赤外線を放出し始める。 温度計がないので測定しようもないが、おそらくは、2000度はありそうな灼熱 空間で意識が飛びそうになる。一方通行は赤外線を反射できそうだが、右手だけでは 全身から照射される溶鉱炉のような赤外線を防ぐすべもない。 「もう・・あきらめてもらおうかのう」 「できるか・俺は美琴に約束した上里を連れ帰ると・・」 「ほほほ・・その状態でどうする気やら・・」 一方通行は、手を地につけ、溶岩全体の熱を奪うように演算を開始するが、あまりの 質量の地球全体に広がる、深さ10kmのマグマ全体の冷却はさすがにできないの か、状況は一切変わらない。 「楽には死んでもらわんよ」 「はあ?」 「この空間は24時間ですべてがリセットさせるようじゃ」 「テメエ・・」 「何度でも安心して殺せる・・とまあそんな話だろうて」 「テメエ・・それだけの力がありながらツマンネエ野郎だな」 強がりは吐くが正直しゃべるのもつらい。 俺は、溶岩に熱せれたサウナという表現すら生ぬるい刺すような熱気で肌を焦がされ フライパンの焼き魚になった気分だ。所詮は右手で触れたものしか打ち消すことが できない中途半端な能力。神様に太刀打ちなどできるはずもない。 (くそ・・このままじゃ・・) もう限界だ。後30秒で俺の肺は焦がされ、死ぬだけだ。一方通行も莫大な赤外線を 無力化するのに力を喰われ、そう遠くないうち意識が飛ぶだろう。 薄れゆく意識の中で必死に婚約者を呼び続ける。 (美琴・・すまん。お前の言う通りにしておけばよ・・) もう終わり・・だ・・そう思った瞬間・・異変は起こった。 あれほど、地平線の果てまでおそらくこの小さな惑星一杯まで広がった猖獗を極め たマグマが急速に冷却され、普通の土くれに変わっていく。余りに突然の変化で俺は 頭が切り替わらないが、こんな惑星規模でエネルギーを操作できる存在は、おれは 一人しか知らない。御坂美琴、俺の配偶者だ。 姿は見せないが、天上から突然声が響き渡る。 「当麻、おそくなってごめん」 「ああ、何とか死なずにすんだよ」 俺は、かろうじて命が救われたことに胸をなでおろす。 いくら何度でもやり直せるにしても単純に死の恐怖は怖い。 俺は美琴の介入によって、どうやら命だけは助かり安堵の溜息をつく。 美琴の声は突然、僧正に語り始める。 「私には貴方を糾弾する資格なんてない」 「だけど、今の貴方のやり方には賛成できない」 僧正は、美琴の青臭い言葉に軽く反応する。 「ほお・・ひよっこが言うの・・」 「ええ・・アンタの言うとおり私に人生経験なんかしれてるのは事実」 「だけど、聡明なアンタなら弱いもの虐めのくだらなさくらいわかるでしょ」 「弱いもの虐めだと?」 「ええ。今の当麻や一方通行じゃどう逆立ちしてもアンタに太刀打ちできないくらい わかっているでしょ」 「それを自分の思いのままにならないから、問答無用に地球ごと壊すなんて間違っ ているわ」 魔神僧正は骨だらけの体をかさこそと音を立て笑い始める。 うほほほ・・ いかにも馬鹿にしたような驕りが滲み出た笑い。 「つまらないの・・破壊力こそ突出しているだけで後はお子様か・・」 冷ややかさなアルトボイスが俺の胸に響き渡る。 「アンタも長く生きた割には随分三下なセリフね・・結局仏教界で現実的な 方法ではなんら力を得ることができず、しかも即身仏として認めさせる ことに失敗したただの失敗者じゃないの・・」 僧正の顔に、はっきりと動揺が広がる。ただの小娘が、自分の過去をズバリ指摘 されたのか、自分の黒歴史を思い出したくないのか明らかに震え始める。 「なぜ・・それを・・知っている?」 「さあね。私はアンタ達と違ってもともと才能のない劣等生なのよ、それを自覚し、 必死で巨大な障害を何度も乗り越えた。だから・・当然ライバルとか敵のことは隅々 まで調べるわ」 「ほほほ・・これは少し舐めていたかの」 「アンタの能力は土を扱う能力よね・・ベースは。だったら河川の改修工事や 田畑を造成して貧しかった中世農民をいくらでも豊かにできたでしょう」 「空海や行基のことを言っているのかの・・そんなもの脚色である事を 知らん御坂美琴ではあるまい」 空間のどこからか大きなため息が響く、 「これだから・・神様風情は困ったものよね・・ひねくれすぎよ」 「アンタには力があるじゃない。でも現実に何かしたの?」 「アンタが偽善者と言うアンタから見ればささいな空海なんて誰でも知っているわ」 「どんな小さくても一歩を踏み出した空海のほうが、文句だけぶーたれるアンタより 何倍もましよ」 「ははは・・はおぬしに何がわかる」 「儂を勝手にこの世から奪おうとしたお主に・・」 「勝手・・ね。アレイスターの運命を狂わし、全人類に2度の大戦を起こし おもちゃのように運命を操ってきた貴方達にそんな事を言う資格なんてないわ・・」 「余計なお世話じゃ。70億人を一度殺したお主にも儂を裁く資格なぞないのでは ないか」 「ええ・・だから・・私ではなく当麻に判断してもらうわ・・」 美琴のアルトボイスが空間に響き渡る。その刹那無数の光の柱が僧正の体に 突き刺さる。あれだけ飄々とした僧正がうめき苦しみ始める。 「何を・・」 「これはね・・呪詛・・よ。貴方達の不作為や思いつきで命を奪われた無辜の民の 慟哭よ」 「当麻・・今なら幻想殺しで僧正を倒せる。当麻がどうするか決めて」 「ああわかった」 正直言ってどっちが正しいのか俺にはよくわからない。だが、常に少しでも前進して 前向きに事を運ぼうとする僧正、あり余る力をただ自分の思い付きのまま行使する 僧正に率直に言ってひとつも同情する気にならない。 まあ考えるまでもないか・・ 「僧正、俺はお前の信念や気持ち、歴史は知らない。だが、いきなり話もせず、力 のないものを嬲り殺すようなやり方にちっとも賛成できない。お前が、力で脅せば すべて済むなんてそんな幻想を抱いているなら、幻想ごとお前をぶち殺す」 俺はただの右手を、突き出し僧正の骨だらけの体をぶっ飛ばす。 魔力をほとんど失ったほとんど質量のない体は、一撃で9割以上崩れ去った。 ・・その瞬間俺の意識は飛んだ・・ 11日 午前4時 私は、回収した当麻と一方通行をベッドの上に寝せている。 木原唯一と上里ハーレムを全員拘束し、研究所の地下倉庫に人の脳を昏睡させる 低周波音波攻撃で黙らせている。 まあ無事終わったわね・・・・ (正直・・ヒヤッとしたわ・・僧正に当麻を殺されるかと思ったわ・・間一髪ね) 一方通行はまだ昏睡しているが、当麻は瞼をもぞもぞ動かし、目を覚ます。 私は、頑張ってくれた当麻に軽く接吻を交わす。 (本当に帰ってきてくれてよかったわ・・) 私は、ミルクティーとバームクーヘンを接客テーブルに準備し、当麻を 進める。 「当麻お疲れ様」 「美琴・・終わったぞ」 「ありがとう」 私は冗談半分で当麻へ苦言を言う。 「だから・・言ったじゃない。本人が直接行くなんて」 「悪い、本当美琴言う通りだったすまん」 当麻は、 「で・・僧正はどうなる」 「死なせないわ・・ふふ・・・死なしてなるもんですか・・」 「美琴ならそう言うと思っていたよ」 「私はね・・あんな奴を簡単に殺したくないのよ。」 「そうだな・・。」 「私はね、少なくとも力を持つものにはそれなりの責任と矜持がいると思うのよ」 当麻が私の事を真剣に見つめる。普段はどことなく、チャラ男的なとこもなくはない 上条当麻が私と真剣に心のやり取りをするときの、鋭いまなざし。 (・これがあるからころ私は当麻を愛したのだから・・) 「ああそうだな」 「彼は、挫折の末に、魔神になった」 「だけど、その得た力を何ら有効に活用しなかった」 「正直・・・私にはわからない。ただこの世界を滅ぼす力を得ただけであれほど 狂う理由がね」 「彼は・・仏教界に絶望し、即身仏になることさえ否定され、その恨みで魔神 なった。その絶望を私は理解できない」 「それでもやっぱり・・彼を肯定できない」 私は当麻の傍へ体を預け、当麻は私の頭を撫で始める。 私は、当麻が撫でるままに任せる。 「やっぱり当麻の体は暖かい、そばにいてくれるだけで心が休まるわ」 「ああ、俺もだ」 「ね・・当麻は今日は休もう?」 「え?学校が・・」 「いいわよ、どうせ授業なんて聞かないでしょ。大丈夫、風紀委員の特別任務で 公休を申請するわ。だから・・美琴様に感謝して・・ね・いいでしょ」 「俺に拒否権はなさそうだな・・」 「ふふ ありがとう・・」 「じゃ・・まずお風呂に入ろう」 「ああ・・」 「楽しませてね」 続く 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン)
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一方通行「どうかしてるぜェ!!」(短編)(一方通行が完全にロリコン) 美琴「ちょっとアンタ!」禁書「なぁに?」(短編)②
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登録日:2009/09/11 Fri 10 41 52 更新日:2024/03/19 Tue 18 43 58NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 かませ犬 ていとくん とあるシリーズの登場人物 とある魔術の禁書目録 イケメルヘン カキネネットワーク カブトムシ スクール ダークマター チンピラ チンピラホスト→冷蔵庫→工場長→繭→カブトムシ→バレーボール ネタキャラ メルヘン メルヘン野郎 レベル5 俺の未元物質に、その常識は通用しねぇ 創造性 垣根帝督 暗部 未元物質 松風雅也 永遠の二番手 科学サイド 第二位 第二候補 超能力者 俺の『未元物質(ダークマター)』に、その常識は通用しねえ 『とある魔術の禁書目録』の登場人物。 CV:松風雅也 概要 学園都市で7人しかいない超能力者の第二位。 学園都市の裏組織・スクールのリーダーにして、アレイスターの計画(プラン)における第二候補(スペアプラン)。 悪役ではあるが、基本的に一般人には手を出さず、敵でも小物なら見逃すこともあるが、自分の邪魔をするのなら一般人であっても一切容赦しない冷酷な一面もある。 それでも暗部の人間のなかではマシな方だが、一方通行からは「チンピラ」「三下」と酷評されている。 ただし状況から見て浜面仕上(レベル0)が麦野沈利(レベル5)をタイマンでぶっ倒したと思われる事に気付いた際はそれまで完全に小物とみなしていた浜面を素で再評価する等 その小物が自分の予想を覆した事に変にプライドを傷つける事もない器の大きさも持っている。 学園都市の第二位だけあって頭脳の方もなかなかに明晰らしく、作中でも素粒子工学研究所を襲撃、その成果物「ピンセット」を活用してアレイスターの極秘通信網「滞空回線(アンダーライン)」から情報を得て戦略を練っている。 能力 能力は『未元物質(ダークマター)』。 「この世に存在しない新しい物質」を作りだし、既存の物理法則を塗り替える。 この能力で生成されるのは、物理学で存在が予言される暗黒物質(ダークマター)とは異なり、「理論上存在し得ない」異世界の物質。 未元物質それ自体はもちろん、「未元物質と相互作用した既存の物質」もまた通常の物理法則から逸脱した挙動を示すため、工業上の利用価値が非常に高い。 第二位の序列も納得と言ったところ。 戦闘においては、未元物質で形成される六枚の天使の様な翼で戦う。 飛行はもちろん、打撃・斬撃・烈風・翼の分解による防御、更には太陽光を「未元物質」に回折させることで通常の物理法則を逸脱させ殺人光線に変える…など、戦法の幅は非常に広い。 また、翼を展開せず麦野沈利に完全勝利できたり、見えない自立兵器「オジギソウ」の群れを一掃できたりと、素の戦闘能力も高い。 当人の性格や行動に似合わないメルヘンチックさには自覚もあるようだが、それでもこの形態を変えないということは「自分だけの現実」的に自然とそうなってしまうのだろうか。 「子供にウケそうなヴィジュアルの能力」とからかわれた際にはブチキレているため、開き直っているわけではないらしい。 活躍 暗部編 メルヘン天使 旧約十五巻、いわゆる「暗部編」でのボスキャラとして登場。 目的は学園都市統括理事長・アレイスターへの「直接交渉権」を得ること。 その手段として彼の計画(プラン)における第二候補(スペアプラン)から第一候補(メインプラン)となることを画策、現在第一候補である一方通行を潰しにかかった。 一応は同格の組織である「メンバー」のリーダー・博士や「アイテム」のリーダーにして超能力者・麦野を歯牙にもかけず完勝。 一方通行に対しても、一度は「反射」を打ち破り能力によるダメージを与えるという快挙を成し遂げた。 …が、直後にあっさり『未元物質』を解析され効かなくなる。 そして第一位と第二位の絶対的な差、「悪党」(笑)としての生き様を見せられ、完全敗北を喫した。 この直後、悪あがきとして黄泉川愛穂を襲ったことが一方通行の逆鱗に触れ、「黒翼」の発現を促してしまう。 これを見たことで「未元物質」に関する何らかの理解を深め新たな覚醒を遂げるも、結局は一方通行に虐殺された。 その後の旧約 冷蔵庫/工場長 虐殺された、と書いたが、その身体は学園都市によって回収され無理やり蘇生され、「生かされている」。 前述したとおり「未元物質」の工業的利用価値は非常に高いため、相当な無理をしてでも「未元物質」の使い手を生かしておく価値がある。 …とはいえ、能力さえ出ればいいため、脳を三つに切り分けられ、冷蔵庫よりでかい生命維持装置に繋がれた挙げ句、能力を出す為だけの実験体となっているらしい。 その姿はあの麦のんすらドン引きする程。 製造に彼の能力を利用した「この世の法則に従わない装備」はEqu.Darkmatterと呼ばれ、第三次世界大戦(のどさくさに紛れた浜面抹殺)などに実戦投入されている。 新約「グレムリン」編 カブトムシ のっけから一方通行が『自分には常識が通じない、というのは、実は何の自慢にもならないのではないか』などと垣根を全否定するような思索にふけっている。 ていとくん可哀想… などといっていたら新約4巻で復活。 人体を「未元物質」で形作れるようになり、欠損した臓器を「未元物質」で繋ぎ合わせることにより自由を取り戻した。 さらには自分の身体と能力との境が曖昧になったことによって、手足を動かすのと同じような感覚で未元物質を操れるようになった模様。 この修復能力を応用し、自分の複製を無限に創造する能力を獲得した。 この複製は脳までも複製されており、全ての個体が『未元物質』を実装している。 更に肉体と能力の境が曖昧になった影響で垣根の意識は『未元物質』を通して全ての複製に分配されており、ひとつのネットワークを形成している。 既に脳が超能力を発揮しているのか、超能力が脳を作り出して維持しているのかもわからない状態になっているため、本来の肉体と呼べるものも存在しなくなっている。 つまりすべての複製が全滅しない限り決して死なず、一体でも残っていればそこから無限に増殖・再生を繰り返すのである。なにこのチート。 また、自分の複製だけでなく昆虫型メカを作り出す事も可能で、本編では偵察用トンボメカやカブトムシ型空中戦車を複数機作り出している。 これらは高度な自律判断機能を持っているが、それ故に命令の解釈に各機の間で齟齬が発生する事がある。 そうなると、敵味方の識別や優先破壊順位がブレて、最悪同士討ちにまで発展してしまう。 新約6巻にてフロイライン=クロイトゥーネを確保するために出撃するが、「関係ねぇ」と一方通行を襲撃。 その不死性と、妹達を模した複製を作り出すというゲスい戦法で一方通行を追い詰め、加勢した麦野も圧倒し、勝利は時間の問題だと思われた。 が 実はこの能力には致命的な弱点が存在する。 垣根の精神はネットワークの中に不均質に散らばっており、それをそれぞれの複製が取得しているのだが、 それは垣根の精神の一部分だけを集中的に引き継ぐ可能性があるということでもある。 要するに今現在「垣根帝督」というネットワークが起こしている行動に対し、反逆する個体を生み出してしまう危険性があるということ。 本来であれば、複製は垣根帝督の分体であるため、それに対して反抗するという論理的矛盾によって結局ネットワークに従うことになる。 しかし唯一の例外として、その反逆者が「自分こそが垣根帝督である」と定義した場合、その個体にネットワークを奪われることになる。 この例外が起こる可能性を持つ存在は、複製だけでなく前述した自律判断機能を持つメカ達も含まれる。 そしてフレメアと打ち止めを守ることを選択したカブトムシ05によってネットワークを掌握されたことで垣根の肉体は崩壊を始め、一方通行によって完全に砕かれた。 垣根帝督は、自分の中の「誰かを守ろうとする善の心」に負けたのだ。 その結果、現在はカブトムシ05が垣根として存在しており、困った誰かを助けるためのヒーローとして都市伝説と化した。 普段はフレメアのランドセルにつけられた防犯ストラップ(物理戦闘力あり)として、淫獣マスコットキャラの立ち位置に収まっている。 ……とまぁ、なんとも形容しがたい道を歩んでしまっており、そのせいか現在では作中でもトップクラスのネタキャラとして読者に愛されている。 ちなみに愛称はカブトムシ・白垣根。 新約オティヌス編 バレーボール その後垣根の脳を含むいくつかの内臓(*1)はグレムリンに回収された。 これを素材として「全体論の超能力者」を生み出すつもりらしいが… そこは細胞さえあれば残りを「未元物質」で創って復活できる第二位、なんと内臓からも華麗な復活を果たし「グレムリン」総帥に喧嘩を売り始める。 この復活した垣根は「最初に第二位の力をもたらした」とあり、15巻の時に最も近い性格の個体と思われる。 自身を道具として利用されそうになったことにブチギレ、グレムリンの本拠地(仮)である「船の墓場(サルガッソー)」を破壊する勢いでキロ単位の「翼」を展開するが… オティヌスにあっさり砕かれ、屈服した揚句バレーボール程の塊に圧縮され未元物質を利用されるという散々な目に合う。 流石に異世界の片鱗を覗く程度の「翼」では、「魔神」候補であるオティヌスには野望の規模も戦闘力も勝てなかった。 よお。確か追記したのは、十二歳の冬っつったよな… もう一度ここで修正しろコラ(・・・・・・・・・・・・・) △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 無印15巻の頃のダーティな帝督君が一番カッコ良かったです(KONAMI感) -- 名無しさん (2015-11-27 07 45 38) コメント欄リセットしました。 -- 名無しさん (2015-11-29 12 49 25) 最新刊では未元物質が鍋の具材になるという面目躍如の大活躍をしました -- 名無しさん (2015-12-31 11 58 53) オリジナルの垣根と上条さんとの会話とか見てみたいな -- 名無しさん (2016-01-06 13 06 57) 魔術師相手には一方通行より強い気がする。 -- 名無しさん (2016-01-12 16 09 59) 常識が通じないのは未元物質であって垣根ではないから!!(垣根が常識人であるとは言ってない)て言うか最近はもう垣根=未元物質なんだけどね -- 名無しさん (2016-02-06 11 15 33) 新約15巻ではサンプル=ショゴスこと変色未元物質が登場。切断した上里の右手を唯一が装着、さらに理想送りに持ち主を上里と誤認(本当にそうかは不明)させるという活躍をする。 -- 名無しさん (2016-04-19 20 27 54) 最新刊でアレイスターから第一位と上条が必要だとピックアップされていたけど、この人もスペアプランなら一方通行の代わりにできるのかな -- 名無しさん (2017-06-16 13 52 18) 「一方通行」とか「食蜂」とかを先に見て来た事もあって、「とある」の事だから正しい読み方が別にあるんだろうなと思いつつ暫定的に「かきねていとく」と呼んでたが、それで正解だったんだな…… -- 名無しさん (2018-10-08 10 39 15) 対魔術師では一方より強そう -- 名無しさん (2018-11-16 01 53 07) 新約の全てが交差するって話だからワンチャン出てくるかなとか思ったがそんなことはなかったぜ -- 名無しさん (2019-03-13 10 13 30) 結局この人はバレーボールにされてからそれっきりなのだろうか。 -- 名無しさん (2019-11-06 06 24 09) 主役になった[] -- 名無しさん (2020-05-03 05 25 39) 名前 コメント
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【名前】ヒュンケル 【出典】ダイの大冒険 【性別】男 【年齢】21歳 【名ゼリフ】「……ここで奴を倒せるのならば……オレの生命すべてを振り絞ってもいい! 散っていった友達よ! この不出来なオレに最後の力を…………!!」 【支給武器】ハイペリオン@ファイナルファンタジーⅧ、手錠@俺の妹がこんなに可愛いわけがない 【本ロワでの動向】 登場話にてキルア=ゾルディックによる折原九瑠璃の殺害現場を目撃。 アバンの使徒として殺人行為に乗ったキルアを許せるはずもなく戦闘に至る。 だが返り討ちにあい、キルアに心臓をくり抜かれ早くも彼の冒険はここに終わった。 ――――しかし彼は生きていた。 死の間際の集中力により極限にまで高まった光の闘気で抜き取られた心臓を代用。 まさしく奇跡ともいえる復活劇であった。 そしてその直後雨宮桜子に襲われかけるが、なんとか逃げ切る。 第2回放送直前にいーちゃん 上条さんvs零崎人識 一方通行の同作キャラ対決を目撃。 その戦闘は決着こそつかなかったものの、いーちゃんはともかく上条側を正義とするならば、明らかに零崎人識、一方通行は悪側であった。 アバンの使徒として悪を許せるはずもなく、後ろから駆け抜けた男が零崎人識を追っていたので自身は一方通行を追った。 いざ戦闘を始めてみればベクトル操作という未知の超能力に圧倒されるヒュンケル。 だが、攻撃を続ける内、魔法や空の技に対する反射が完全でないことに気づく。 そこに勝機を見出したヒュンケルは空の技を中心に攻撃を行うが、それは一方通行に解析材料を与える結果となった。 そして、トドメを刺すべく放たれたグランドクルスはその半分を一方通行に、その半分を術者であるヒュンケルに返す結果となった。 半分とはいえその威力は凄まじく二人の生命を消し飛ばすには十分であった。 ――――しかし彼は生きていた。 ほんの僅か、HPにして1という本当に紙一重の差。 あと僅かでも一方通行の理解が及んでいればヒュンケル命はなかっただろう。 が、原作でも似たような状況でも戦闘をこなしていたヒュンケルは正宗での回復も待たずに対主催のチームと合流することを急いだ。 途中でデモンベインレイプ事件に遭遇したり、葦原と遭遇し共に料理を振る舞ったりなどした。 その後雨宮桜子による葦原涼の殺害現場を目撃。 料理の縁もあり、アバンの使徒としてこのような殺人行為を見逃せるはずもなく戦闘に至る。 ヒュンケルの知る魔法とは法則がまるで違うPSI能力に苦戦を強いられる。 そしてヒュンケルの放ったブラッディースクライドと雨宮の放ったバーストによる黒鎌が互いを貫き相打ちという形でその戦いは決着した。 ――――しかし彼は生きていた。 幸運にも装備していたアバンの証が紙一重で彼を守ったのだ。 葦原の遺体から回収した劔冑正宗にその正義の心を認められ仕手となる。 尚、正宗は肉を切らせて骨を断つという言葉そのものの仕様であるある反面、仕手への再生能力も非常に優れ、ヒュンケルの力も相まって心臓をある程度復活させることに成功。 その仕様故にヒュンケルと相性がよく、ヒュンケル自身も鎧の魔剣などの纏う武器を使っていたこともありすぐに使いこなすようになった。 意思持ち支給品であり、かなり自己主張が強くうるさいのが難点だが。 そして冒険も終盤。 イエス・キリスト、スコール・レオンハート、巴マミ、天野銀次、水銀燈の5人の仲間を得たヒュンケルは最後の壁として立ちふさがるラインハルト・ハイドリヒと対峙する。 彼我は余りにも絶望的な戦力差であったが、キリストがロンギヌスの槍を道連れに召され、正宗を犠牲にしての天罰覿面によるハイパーボリアゼロドライブでリベル・レギスに大打撃を与え、スコールと銀次の犠牲によって至高天も崩壊。 聖約・運命の神槍を自らの腹部パーツがないことを活かして躱した水銀燈が作った僅かな隙に、仲間たちの想いと己の全生命力を込めたグランドクルスを放ち、強敵ラインハルト・ハイドリヒを撃破した。 すべての生命力を使い果たし、不死身と呼ばれた男はついに最後の眠りについた。 ――――それでも彼は生きていたのか 彼の世界のエピローグでは記憶を失った男が登場し、その外見はアバンの長兄に酷似しているとされていた。 それが彼本人であるかどうか、真実は誰にもわからない。
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※特に表示のある作品以外は連載中のものです。 ・上条「美琴ってMだよな……」(オムニバス/完結作品?)18禁 パートナーとして楽しい性生活を送っていた当麻と美琴。しかし、マンネリを感じた当麻はアブノーマルなセックスに手を染めていく……。回を重ねるごとに変態度が上がる。 ・上条「付き合うことになったんだ」 ひたすら上条と姫神がいちゃつく話。罪な男上条が誰かと付き合うことは誰かが泣くと言うことであった……。メールのやり取りに注目。 ・上条「もてた」① ② ③ ④(完結作品) クラスメイトとの口論から、上条は女の子をデートに誘うことに。偶然すぐ傍には、姫神秋沙がいた。その偶然が、二人の関係をガラリと変えていく。いわゆる姫神大☆勝☆利! ・上条「もてた」 After Story ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦(完結作品) ついに上条と結ばれた姫神。しかし、その影には涙を飲む女の子達もいて…...。上条「もてた」の続編。バッタバッタと振られていく女の子達の涙と執拗な恋愛描写にあなたは耐えられるか。もう結婚しろよお前ら。 ・上条「おっす、俺ゲス条!」(オムニバス/完結作品)18禁 文字通りゲスな上条当麻が知人女性を弄ぶ話。しかし、彼の中にもルールがあり、①既婚者との本番NG②近親○姦NG ③幼女との本番NG(※年齢が大人なら有り)④ハードなSMもNG(ソフトなら有り)⑤虫プレイやスカト○等アブノーマルなものもNG、とのこと。 ・上条「俺は...超ゲス条だ」(オムニバス)18禁 かつて数多の女性を餌食にし、学園都市を震撼させた男「ゲス条」が満を持して帰ってきた!---上条「おっす、俺ゲス条!」の続編。幼女解禁宣言もあり、前作以上にハードな描写が飛び出すと目されるので注意が必要。 ・上条「一人暮らし」 一人暮らし。ファミレスで友人とダベりつつ進路に悩んだり、偶然出会った年上にドギマギしたりもする--- ちゃっかり青春する上条当麻たちなのであった。 ・御坂妹「ミサカじゃダメですか?」等々(オムニバス) クリスマス・イブ---彼女などいない上条は男友達とむなしく街に繰り出していた。そして出会ったのは御坂妹。なんやかんやで、一緒にイブを過ごすことになった二人は……。 ・美琴「黒子、アンタってさぁ…彼女とかいないの?」黒子「はい?」 あれ、アタシ百合じゃないのに!? ふと口に出た疑問をきっかけに、黒子にドギマギする美琴。 ・黄泉川家の華麗なる日々(打ち切り) 黄泉川家の人々---居候の一方通行、打ち止めそして元研究職で現在無職の芳川を含めた四人は今日も仲良く(?)暮らすのだった。 ・黄泉川家短編集(オムニバス/完結作品) 黄泉川家で織り成される暖かいホームドラマの数々。短編オムニバス形式でどうぞ。 ・とある若葉の一家団欒(ラブコメファミリー) 黄泉川家の面々が色々と騒動を起こす。やはり、芳川はまだ働く気がないようだ。 ・一方通行「どうかしてるぜェ!!」 上条、一方通行含め皆仲良しのほのぼのストーリー。セロリ。 ・上条「アクセラにいちゃん」 上条とレベル5第二位以下が幼児化した!!子守を任された一方通行は……。 ・御坂妹「MNWに一般の方が接続されるようです」(オムニバス) シスターズだけがアクセスできるMNW(ミサカ・ネットワーク)に一般人が接続できるデバイスが開発された! 接続してきた一般人との交流を通じてシスターズが騒ぎを起こす。 ところで、MNWの雰囲気が某巨大掲示板に似ているような……。 ・御坂妹「上条さんがMNWにスレを立ててますよ」 「助けた女の子を好きになっちゃったんだ」--- 一般人は接続できないはずのMNWになんと上条が侵入した。鯖落ち連発 の大規模祭りに発展し……。 ・打ち止め「一分止めクッキング!」一方通行「……はィ?」 一方通行と打ち止めが料理に挑む。終始、テンションが高い一方通行。 ・上条「俺がレベル6!?」(打ち切り) 幻想殺しの本質=時間操作!? 木山先生の助力で自らの能力を理解した上条当麻はどんどんレベルを上げ、ついには……。 ・上条「俺が……リーダー…?」(打ち切り) スキルアウトに目をつけられてしまった上条当麻。ついには本格的な抗争に巻き込まれて……。オリキャラ多数。残念ながら打ち切り。 ・上条「じゃ、風紀委員ですの!?」 風紀委員に一日入隊した上条。彼はパートナー白井黒子と共に治安維持活動に身を投じる。 「ジャッジメントですの!」の掛け声とともに・・・・・・。 ・上条「アンタは私のものになんのよ」美琴「……不幸だ」① ②---上条編(完結作品) 上条と御坂の中身が入れ替わった!! お互い別々の体で生活していくうちに精神が体になじんできて……。 特に上条in美琴の内面の変化に注目したい。 ・御坂妹「私......あなたのことが好き」 今夜の寝床がなくなった御坂妹がお泊りに来た。上条に好意を抱く御坂妹は猛烈にアタックするが・・・・・・。 ・打ち止め「ただいま!」 一方通行「ンなっ!?」 カエル医者の出来心で、大人な体つきになってしまった打ち止め。セロリな一方通行はそれを許すはずもなく……。 ・黒子「また、名前で呼んでもらえるまで」① ②(完結作品) お姉さまにちょっかいを出す類人猿---自分にとって取るに足らないモノだった上条の存在は、白井の中で日に日に大きくなる……。 ・佐天「あ、あの!お名前をっ!」上条「名乗る程の者じゃないよ」① ② ③ ④ また上条は女の子を助けた。上条にとっては大勢の中の一人でも、佐天にとっては唯一無二のヒーローで……。 ・オッレルス「わが家へようこそ!」※最新刊(22巻)ネタバレ注意 主に原作22巻に登場するキャラクターが諸事情で共同生活する話。 ・佐天「きまぐれ」 初春「れぐまき」① ② ③ ④ サイケデリックな文体が脳髄に直撃する。登場人物の行動・言動が……。特に初春の変化に注目。 ・垣根「ジャッジメントか……悪くねぇ」① ② ジャッジメントの一員となった学園都市第二位の未元物質・垣根が奮闘する。 ・美琴「新しいかっこいい必殺技が欲しい」(打ち切り) 美琴が新たな必殺技を開発しようとする。途中から、高位能力者のバトルトーナメントに。残念ながら打ち切り。 ・垣根「怨み屋本舗か・・・」(打ち切り) あなたの怨み晴らします怨み屋本舗---広告をみた垣根は因縁のある一方通行を暗殺するため依頼に赴く。残念ながら打ち切り。 ・美琴「お願い! 今日一日でいいから、私の“代わり”になってくれない?」 学園都市から用事で離れることになった美琴。顔が同じということで、不在中妹になりすましを頼むが・・・・・・。 ・フレンダ「麦野、愛してる」麦野「そうか、死ね」 フレンダはいまだ同僚との間の雰囲気をうまくつかめないでいた---アイテム・メンバーたちの人間関係を描く。 ・上条 「不運と幸運、不幸と…何だ?」① ② ③ 嫁と化した御坂妹が上条さん家で擬似新婚生活をする話。途中から書き手が変わっている。 ・【禁書】 は人生を【SS】 (完結作品?) 鈴科百合子、垣根帝督、削板軍覇、御坂美琴の順に展開する短編オムニバス。御坂編以降は残念ながら打ち切り。 ・11028「黒子かわゆい」① ② ③ 黒子の魅力に気づいてしまった一人のミサカ。黒子を巡りMNWのレス消費はいつも以上に加速する---MNW(ミサカネットワーク)での妹達の雑談を通して、ギャグテイストの物語が進行。付録のシスターズキャラクター設定案が興味深い。 ・ステイル「僕かい?ジャッジメントさ」 再び禁書目録を狙う者が現れた---情報をつかんだイギリス清教は魔術師ステイル・マグヌスに風紀委員として、学園都市に潜入するよう命じる。 ・一方通行(レベル1)「ちょっ、痛っ!?」同級生「おら、くたばれや!」(完結作品) 「それじゃぁ、二人組みになって~」。立ち尽くす小学生時代の一方通行。そう、かれはいじめられっ子。ペアを組む友達などいないのだ---LEVEL1の一方通行が上条の助けを借りて、強くなるため奮闘する。 ・淡希「じー」香焼「」 年下好きと噂の結標淡希がトチ狂った!!なんと、道端で見かけた好みの少年(ショタ)、天草式十字凄教の構成員香焼を誘拐・監禁する暴挙に及んだのだ・・・。ちなみに香焼は「こうやぎ」と読む。更新停滞中。 ・上条「あれ?俺死んだはずじゃ」海原「ようこそ」 がんっ!上条は死んだ。不幸だ()---事故で帰らぬ人となった上条。しかし、不幸な男は死んでからも不幸で・・・・・・。登場キャラが全員ハイ。ギャグ。 ・上条「あの日、もしかしてお前は、俺以上に」(本編完結/アフター連載中)※クロスではないが原案:「マイガール」 恋人の美琴に先立たれてから5年---いまだ彼女のことを忘れられない上条の前に、美琴の忘れ形見を名乗る少女「麻琴」があらわれる・・・・・・・。麻琴と上条たちの交流を描く、ハートフルストーリー。 ・五和「私は・・・・実は上条さんの姉なんです」上条「え?」(完結作品) たとえ記憶がなくとも、二人が姉弟であることは変わらない---上条と五和が姉弟設定。濡れ場あり。 ・上条「いや、実はですね」御坂「―――うん、実はね」 さまざまな戦いを経て、上条が選んだ相手は禁書目録だった。美琴は思う。「はじまりがあれば、いつか必ず終りが訪れる。」彼女の恋も例外ではない。---美琴が失恋する話。心情描写が秀逸。 ・美琴「私に勝てると思ったのか!?あぁ、第四位さんよぉ!?」 暗部に堕ちたのが麦野ではなく美琴だったら---麦野と美琴の立ち位置を入れ替えたらというストーリー。周辺の人間関係の変化にも注目。ハードな描写あり。 ・木山先生「君はどうしようもない変態だな」(オムニバス) 木山先生に蔑んだ目で見下され、罵られたい奴はちょっと来い---木山先生と同棲中の「俺」が織り成す、紳士的でハートフルな日々。怒涛の短編オムニバス。君は 1の変態性(注:ほめてます)についていけるか!? ・垣根「常盤台破壊計画?」① ② (完結作品) 垣根帝督に下った指令。それは「常盤台中学を破壊しろ」というものだった.......突如、襲ってきた学園都市第二位の脅威に御坂達はどう立ち向かうのか。そして、破壊計画の真意とは?---御坂中心のシリアス。後半書き手が変わってからが本番。 ・御坂「私の気持ちは......」(打ち切り?) 気になる異性の言葉に一喜一憂する素直になれない女子中学生。そんな御坂美琴もまた、子供を犯罪行為に借り出す非人道的な学園都市の被害者の一人だった......。---御坂が暗部に所属している設定。シリアス。打ちきりか。 ・上条「イヤだ!!上条さんは女装なんてしません!!」 ※一部、「バカテス」・「ハルヒ」とのクロスあり 俺達の上条さんがこんなに可愛いわけがない.。罰ゲームとして女装を強要された上条。笑いものになるはずが、存外に適性があり心を奪われる人間が続出し....---ほぼオールスターの女装ギャグ。途中大幅な路線変更。 ・美琴「あなた、病室間違ってない?」禁書「......っ」① ② ③ (完結作品) 「だからさ、あんたは勝手に助けられてなさい」---イギリス清教の欺瞞により記憶を奪われ続けていた禁書を救ったのは、あの不幸な少年ではなく学園都市第3位の超能力者だった......。主人公を美琴に入れ替えた、序盤の本編再構成モノ。 ・上条「愛してる」①② ③ (オムニバス) 走る上条。それを追いかけて電撃を浴びせる御坂。いつもなら、微笑ましくもあったふたりのじゃれ合い。このとき、彼らは後に訪れる過酷な運命を想像もしなかった...。---タイトル:「愛してる」をテーマにした短編オムニバス。シリアス、コメディとバラエティに富んだssが楽しめる。 ・ミコト「ただいま!」 (完結作品) ※最新刊(22巻)ネタバレ注意 あの世界大戦から約一年後の世界。先の戦いで真の能力が覚醒した上条はその力を生かし戦後処理(残党の掃討)に奔走していた。戦争が終わってなお繰り返される血で血を洗う殺し合い。上条の葛藤。御坂の想い。そして明らかになる彼女の秘密...。息をつく間もなく物語は展開していく。---22巻(第三次世界大戦)アフター。タイトルが意味するところに注目。 ・上条「なんか御坂に話し掛けにくいんだ」 (打ち切り?) いつになくギクシャクした様子の上条・御坂。心配した周りが問いただしたところ、どうやらロシアでの一件に理由があるようで...。---22巻アフター。ラブコメ風に上条と御坂の関係の変化を描く。 ・上条「インデックスをとことん愛でたい」 「幸せは身近なところに」。異性に困らない生活を送る上条。そんな彼が心に決めたのは...。---上条とインデックスの純愛ストーリー。インデックスの魅力。 ・滝壺「私は、AIMストーカーだから」 (完結作品) 「かみじょうのことが、知りたい」。能力が通じないことから、上条に興味を持ったAIMストーカー・滝壷理后。住む世界が違う二人の交流は互いにをもたらすのか。---滝壷主役。なかなかみられない上条とアイテム勢とのからみを楽しめる。 ・絹旗「つまり超修行ってことです」 (連載中) 突然修行と称して一方通行の自宅に押しかけてきた、絹旗最愛。当初は嫌がる一方通行だったが、絹旗の押しの強さに徐々にボロを出していき...。---一方通行×絹旗のコメディ。暗部勢勢ぞろい。連載再開か。 ・美琴「アンタは……!」一方通行「超電磁砲か」 (完結作品・後日談打ち切り) 「妹達計画」。御坂にとっては忘れがたいあの事件。その実行者である一方通行と再会した彼女は、よりにもよって被害者・妹達(クローン)と親しげな一方通行を前に戸惑いを隠せなかった...。---一方通行と御坂の関係を補完する短編。こういう解釈もありか。おまけの後日談付き。 ・小萌「魔法名は『smilers100』【生徒達の笑顔のために】ですよー」 (連載中) 最先端の科学技術を擁するも、極めて治安状況が厳しい学園都市。生徒達が傷つき、そしてその若い命を散らしていく事実を前に教師・月詠小萌はある決意をする...。---小萌先生が魔術師になる話。こんなカッコイイ先生は初めてみた。 ・佐天「…アイテム?」 (連載中) 無能力者である自分。友人との距離。劣等感...。そうした感情に悩む佐天のもとに舞い込んだ「アイテム」と呼ばれる治安維持部隊加入への誘い。高額なギャランティにつられ、そしてなにより自分を変える意味もこめて承諾した彼女だが...。--- 総合スレの作品を基にした、シリアス長編。ダークな雰囲気。 ・絹旗「私が馬鹿っぽい……?」 (連載中) 例の口癖をアイテム同僚にバカにされた絹旗。しかし、浜面はだけは違い...---アイテムメンバーを中心としたストーリー。ラブコメ時々シリアスの緩急のある展開が楽しめる。 ・上条「やれやれ、僕は射精した」 (打ち切り) ※クロスではないが原案:初期村上春樹作品(鼠と僕シリーズ等) 「私は魔術結社に追われているの。連中は私の持っている十万三千冊の魔導書を狙っているのよ」俺の夏休みはこうして始まった。魔導図書館を名乗る少女インデックス、彼女を追う魔術師、幼女教師。全然等身大じゃない人物を登場させ描かれる不幸な青春ストーリー。---禁書を春樹風に書いたss。小ネタが満載。 ・御坂「名前を呼んで (完結作品) 「感情は成長する。それはまるで雪ダルマだ。一度転がりだした小さなココロのカケラは何もせずとも少しずつ膨れ上がっていく」-御坂は決めた。自分の感情を受け入れる。そして、上条の背負うもの全てを受け入れることを。これは、ひとつの決着であり、ひとつのはじまりでもある...。---上条×御坂の大甘短編。流麗な文章。かならず最後まで読むことを勧める。 ・美琴「待ちなさいってば!」上条「股がビリビリ」 (完結作品) 上条さんのいつものセリフ「またかビリビリ」を「股がビリビリ」と聞き間違えた美琴。股間に電撃を当ててしまったと誤解した彼女は、上条さんの看病をすることに。だがその誤解をいろんな人が聞きつけて大騒ぎに……。 ・上条「第六位が帰ってきた……」 (完結作品) 「第六位が帰ってきた」その一言で学園都市の平和は終わりを告げる。第六位の脅威から逃れるべく、ある者は空気椅子をし、ある者は上条と腕を組み、あるロリコンはほふく全身をする。だが記憶のない上条は誰もが知ってるその力の正体が分からない。果たして上条の運命は……、そして第六位の能力とは……、はっ!? しまった『あの力』がっ……ぐああああああああああああ!!!!!! ・【禁書】5+0+0+5【SS】 (完結作品) 佐天涙子中学一年生!青春真っ只中!しかしフリー...。彼氏をゲットして春休みデビューを目指す彼女は先輩である御坂美琴に泣きつき、ダブルデートのセティングを約束させる。さて、御坂が選んだ面子とは...。---初デートの初々しさ。クールキャラの意外な側面。タイトルが意味するのは。